2025年4月10日、株式会社帝国データバンクは2025年2月分の「カレーライス物価(※)」を公表。これによると、カレーライス物価は前年同月比で88円上昇し、1食あたり407円に。11カ月連続で過去最高を記録し、初めて400円を超えました。
モノやサービスの値上げが続く中、2024年度補正予算(2024年12月成立)でも物価高騰対策の一環として「住民税非課税世帯への3万円給付金」が盛り込まれました。
特に物価高の影響を受やすい低所得世帯に向けた支援措置として、3月現在、各自治体でその給付作業が進行中です。次ではこの給付金の概要に触れておきましょう。
※カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを、帝国データバンクが独自に試算した指数。各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)を参照。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」もの
1. 住民税非課税世帯への《3万円給付金》子育て世帯には「1人当たり2万円の子ども加算」
今回の支給額は「1世帯あたり3万円」が基本です。また、対象世帯のうち子育て世帯には、18歳以下の子ども1人につき2万円が上乗せされます。
「夫婦+対象となる子ども2人」の世帯であれば、支給額は合計7万円です。
コロナ禍以降、家計が急変した世帯や、低所得者世帯等を対象とする類似の給付の実施が増えました。こうした支援の対象としてしばしば挙がるのが「住民税非課税世帯」という区分です。
次では住民税の基本や、住民税非課税世帯となる所得要件などを整理していきます。
【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
2. 《住民税の基本を整理》住民税非課税世帯とは?
ここからは、住民税の仕組みにも触れながら、住民税非課税世帯となる要件などを整理していきます。
2.1 住民税の基本を整理
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税で、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となります。
個人住民税は、所得に応じて税額が決まる「所得割」、所得に関係なく一律課税となる「均等割」の合計で、それそれの収入に応じた負担額が決まります。
「住民税非課税」は、均等割・所得割どちらも免除となるケースです。そして世帯全員が住民税非課税となる世帯は「住民税非課税世帯」となります。
※なお「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
2.2 住民税が非課税となる要件は3つ
以下の3つのいずれかに該当する場合、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市町村の基準を下回る
1と2は全国共通ですが、3の所得要件は自治体ごとの基準が異なります。次では「住民税非課税世帯」に該当する所得や収入の目安について、札幌市のケースを見てみましょう。
3. 「住民税非課税世帯」となるボーダーライン《所得・年収》の基準はどのくらい?
ここからは住民税が非課税となるボーダーラインを、具体的に見ていきましょう。
札幌市の例を挙げて、所得と年収それぞれの基準で確認していきます。
3.1 札幌市の例「住民税非課税世帯」となるボーダーライン《所得基準》はいくら?
- 扶養親族を有さない方:45万円
- 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円
「所得」は、収入から経費や各種控除を差し引いた金額を指します。ただし「所得よりも、年収ベースの方がイメージしやすい」という人もいるでしょう。
実は、住民税非課税となるボーダーラインは、収入の多寡に加え、収入の種類や世帯構成などにより変動します。
引き続き札幌市の例を参考に、「世帯構成と収入の種類別」に、住民税非課税となるボーダーライン見ていきましょう。
4. 札幌市の例「住民税非課税世帯」となるボーダーライン《年収基準》はいくら?
ここでは札幌市で「住民税が非課税となる所得基準」と、それに対応する収入金額について、「扶養親族なし」「扶養親族1名」の場合を比べてみましょう。
扶養親族1名
- 非課税となる合計所得金額:101万円
- 給与収入のみの場合の収入金額:156万円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳未満の方):171万3334円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳以上の方):211万円
扶養親族なし
- 非課税となる合計所得金額:45万円
- 給与収入のみの場合の収入金額:100万円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳未満):105万円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳以上):155万円
住民税非課税となる年収のボーダーラインは、扶養親族が1名であれば、給与収入のみの場合は156万円、65歳以上で公的年金収入のみの場合は211万円です。
扶養親族がいない場合、収入が給与収入のみであれば100万円ですが、65歳以上で公的年金収入のみの場合は155万円にまで上がります。
非課税限度額は扶養家族の数が多いほど高くなり、さらに65歳以上では収入が年金のみの場合はさらに引き上げられていることがわかります。
5. シニアは住民税非課税世帯となりやすい《その背景&注意事項》
住民税非課税となるボーダーラインは、収入の種類、扶養親族の数、年齢などにより大きく変わることが分かりました。また、65歳以上の年金収入のみの世帯では、非課税となるボーダーラインが高めとなっています。
一般的には現役時代よりも収入が下がること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」でも、住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%だったものが、60歳代78.3%→70歳代64.1%→80歳代47.5%と、シニアほど低くなっています。
ただし、住民税非課税世帯の判定はあくまでも「前年の所得」が基準です。低年金でも預貯金を多く持っているシニア世帯なども一定数含まれるでしょう。
5.1 支援が必要な世帯は、シニアだけではない
ちなみに厚生労働省の「生活保護の被保護者調査」では、2024年12月時点で生活保護を受けている164万3111世帯のうち、高齢者世帯が占める割合は54.9%。逆にいえば、高齢者世帯以外の世帯が半数を占めていることになります。
住民税非課税として支援が必要な世帯は、シニアだけではありません。また、今回のような一時的な給付金以外にも、住民税非課税世帯を対象とした国や自治体の優遇措置があります。次で見ていきましょう。
6. 【給付金だけじゃない!】住民税非課税世帯を対象とした「5つの優遇措置」
住民税非課税が受けられる支援は、今回のような一時的な給付金だけではありません。幅広い世代の住民税非課税世帯が対象となる、国や自治体の優遇措置についてもチェックしておきましょう。
【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置5/6
出所:各種資料をもとにLIMO編集部にて作成
- 国民健康保険料(応益割)の減額
- 介護保険料の減額
- 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 幼児教育・保育の無償化
- 高等教育の修学支援新制度
上記の例のように、住民税非課税世帯を対象とする各種優遇措置には、保険料の負担軽減や、子育て世帯に向けた保育・教育費の支援などが含まれています。
自治体独自の優遇措置や助成が設けられているケースもありますので、お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。
7. まとめにかえて《3万円給付金》5月に申請締め切りの自治体も
今回は、現在支給が進行中の、住民税非課税世帯を対象とする「3万円給付金」のあらましに触れたあと、住民税の基や、住民税が非課税となる所得・収入のボーダーラインを見てきました。
「住民税非課税世帯を対象とする3万円給付金」の給付スケジュールは自治体により異なりますが、申請期限が迫る自治体もちらほら出てきています。下記で例を紹介しましょう。
※なお、お住まいの地域の情報は、自治体のホームぺージや広報誌などで最新の正確な情報をご確認ください。
- 東京都杉並区:令和7年4月30日(水曜日)
※郵送の場合は「令和7年4月30日(水曜日)」の消印有効、電子申請の場合は午後11時59分
- 東京都品川区:令和7年5月12日(月)オンライン申請、郵送申請共通
※郵送申請の場合は、「令和7年5月12日(月)」の消印有効
- 神奈川県横浜市:令和7年5月30日(金曜日)【必着】
※基準日の翌日から令和7年5月30日(金曜日)までに生まれたお子さんの申請については【消印有効】
支給対象となったら、しっかり受け取り活用したいですね。今回の給付金に限らず、国や自治体がおこなう助成や給付金は「申請しないと受け取れない」ものが多くあります。
こうした「公的なお金」に関する情報にもアンテナを高く張っておきましょう。
8. ◆豆知識◆【10年未満だと受け取れない】年金の「資格期間」を知っていますか?
なお、国民年金(老齢基礎年金)を受給するためには、一定の年金加入期間が必要です。これを「資格期間」といいます。
この資格期間はかつては25年間でしたが、2017年8月1日以降「10年間」となっています。
8.1 「資格期間」とは?
- 国民年金の保険料を納めた期間や、免除された期間
- サラリーマンの期間(船員保険を含む厚生年金保険や共済組合等の加入期間)
- 年金制度に加入していなくても資格期間に加えることができる期間(「カラ期間」と呼ばれる合算対象期間)
これらの期間を合計したものが「資格期間」です。資格期間が10年(120カ月)に満たない場合は、年金を受給することができません。
参考資料
- 株式会社帝国データバンク「2025年2月のカレーライス物価、1食407円 初の400円突破 5年間で5割高、コメ・野菜の値上がりが家計直撃 3月は1食420円前後まで上昇予想」(PR TIMES)2025年4月10日
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 国税庁 高齢者と税(年金と税)「年金収入の所得計算、所得控除の増額」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
吉沢 良子
