7. 【国民年金・厚生年金】平均受給額に迫る
厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の各年齢における平均年金月額は、国民年金のみの受給権者で5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者で14万円台~16万円台です。
ただし一人ひとりが実際に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況により個人差があります。グラフを交えながら、国民年金と厚生年金の「平均月額と個人差」を見てみましょう。
60歳~90歳以上の全受給権者の平均年金月額は下記の通りです。
7.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
7.2 厚生年金(国民年金部分を含む)
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合は男女ともに5万円台ですが、厚生年金を受け取る場合は男性16万円台、女性10万円台と差があります。
8. まとめにかえて
70歳までの就業機会確保が進められる中、シニアが活躍できる就業の場は今後も増えていくことが予想されます。
経済面だけでなく、社会とのつながりや健康面なども考えた上で、長く働くことにはメリットがあるといえます。
企業の立場からも、労働力不足が懸念される中でシニアの働き手が増えるというメリットがあります。
一方で、現役時代はやみくもに働いてきた分、年金を受け取れるようになればすっぱり引退したいと考える人も多いでしょう。
このときに必要になるのは年金収入と支出の差分となる資産があるかどうかです。
公的年金以外の何らかの収入、あるいは取り崩せるだけの貯蓄があるかがカギになるため、しっかりシミュレーションして備えておきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- レバレジーズ株式会社「ミドル・シニア層のIT人材採用が拡大「70歳までの就業機会確保」に取り組む企業も」
- 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
太田 彩子