5. 年金制度や税金についてもっと勉強しておけば良かった

年金制度や税金についての知識がないために損をすることもあります。

退職金や企業年金、公的年金は、受給方法によって税金が変わることもあるからです。

受給方法の選択肢を知らずに、適切な選択ができないこともあります。年金については、最低限次の事項は確認しておきましょう。

  • 受給額と受給開始時期
  • 繰上げ受給と繰下げ受給
  • 在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止
  • 加給年金と振替加算

税金については次の通りです。

  • 退職金や企業年金、給与、年金にかかる税金
  • 退職所得控除や公的年金等控除、そのほかの控除
  • 給与と年金を同時に受け取るときの税金や確定申告

年金に関する知識は日本年金機構ホームページ、税金は国税庁ホームページなどで確認できます。

最低限の知識を身に着けて、損をしない受給方法や働き方を選択しましょう。

6. 後悔しないための老齢年金の受給方法

老齢年金の受給開始時期は原則65歳ですが、60歳以降65歳前(繰上げ受給)または66歳以降75歳(繰下げ受給)に変更可能です。

繰上げ受給と繰下げ受給にはそれぞれのメリットとデメリットがあるため、損益分岐点などを参考に受給開始方法を選択します。

注意したいのは、誤った情報を基に受給方法を選択しないことです。

一方のメリットまたはデメリットのみを強調したインターネットなどの情報を基に、繰上げまたは繰下げ受給の申請に来られる方も多いからです。

最近では、「60歳受給最強」などの目立つタイトルの情報を基に、繰上げ受給の手続きにくる人が目立ちます。

過去には「年金制度は破綻する」という情報を信じ、保険料を支払わない国民年金加入者が増えた時期もありました。

7. まとめにかえて

年金事務所で相談員をしていると、自分で情報収集して老後の生活設計をきちんと立てている人と、なんとかなると考えて(または経済的、時間的余裕がなくて)具体的な対策を取っていない人の差が目立ちます。

定年後に後悔しないように、老後の生活設計を立てることをおすすめします。

まずは、老後の年金受給額と生活費、年金だけでは不足する老後資金を概算しましょう。

不足分を補うために何をすべきか考えることが老後対策です。

参考資料

西岡 秀泰