2025年3月11日に総務省が公表した「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)のひと月の消費支出(生活費)は14万9286円となりました。
では、この単身世帯の生活費を公的年金収入だけでカバーできる女性はどのくらいいるのでしょうか。
現役時代の年金加入状況により、老後の年金受給額には個人差・男女差が出ます。ではこれを女性のみに絞ると月額いくらでしょうか。
また、男女全体の平均年金月額をクリアする「月額15万円超」となる女性の割合はどのくらいでしょうか。
今回は、公的年金のしくみをおさえたあと、いまのシニア世代の「女性の年金月額」に関するデータを紹介します。
※15日が土日・祝日の場合は、直前の平日に前倒しされます。
1. 年金制度は2階建て「厚生年金・国民年金」
日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の二つの年金制度から成り立つため「2階建て構造」などと呼ばれています。
国民年金(基礎年金)は、原則として日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。
国民年金保険料は定額制(※1)で、40年間の全期間納付すると、65歳以降で「満額」(※2)を受給できます。未納期間については、その月数に応じて満額から差し引かれます。
一方、厚生年金は、サラリーマン(会社員や公務員など)や、一定の条件で働くパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入する年金です。
報酬(給与・賞与)に応じた保険料を事業所と折半で納付し、老後の年金額は、年金加入期間と納付済保険料により計算されます。
そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の標準報酬月額はいくらか、などが老後の年金額に大きく響くしくみです。
※2025年度の月額
※1:国民年金保険料:1万7510円
※2:国民年金の満額:6万9308円
2. 年金額は6月分から1.9%増える
公的年金は、物価や賃金の動きを考慮して毎年度見直しがおこなわれます。2025年度は前年度より1.9%のプラス改定となりました。
3年連続のプラス改定となったこと自体は嬉しい響きではありますが、「マクロ経済スライド(※)」の発動により物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には年金額は目減りしている点には注意が必要です。
なお、改定率が適用されるのは、6月に支給される「4・5月分」の年金からです。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
年金制度の基本や、最新の年金改定について触れたあとは、厚生労働省の一次資料をもとに女性の年金月額データを見ていきます。