金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が、「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答。

その背景には、物価上昇や介護・医療費が増えることへの懸念があります。

厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の男女全体の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で5万円台、厚生年金(国民年金部分も含む)で14万円台です。

ただし、現役時代の年金加入状況により、老後に実際受け取る年金額はひとりひとりちがいます。年金とその他の所得を含めても、所得が一定基準以下となる場合、年金生活者支援給付金を受け取れる可能性があります。

今回は「年金生活者支援給付金」の支給要件や金額について整理していきましょう。

1. 年金に上乗せされる《年金生活者支援給付金》を知っていますか

「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者を支援する目的で、2カ月に一度、年金に上乗せして支給される給付金です。

受給中の年金種類により「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3つに分かれており、それぞれで支給要件や支給額などが決められています。

1.1 【年金生活者支援給付金】2025年度は前年度より2.7%引き上げ

2025年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、2024年度から2.7%のプラス改定となりました。

【2025年】年金生活者支援給付金の支給金額1/4

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」をもとにLIMO編集部作成

【2025年度】

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円

老齢年金生活者支援給付金については、この基準額に基づき保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。

上記はいずれも「月額」の金額です。支給日には2カ月分まとめて、年金に上乗せされます。上記の金額通りを受給できる場合、1回の支給で約1万円、年額にすると約6万円です。

※2024年3月において認定されている平均給付金額です。

2. 年金生活者支援給付金「対象となるのはどんな人?」

「年金生活者支援給付金」の支給要件2/4

「年金生活者支援給付金」とは?

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」について

年金生活者支援給付金の支給要件についても見ていきましょう。

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が472万1000円以下の人です。

給付金の判定には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれず、扶養親族等の数に応じて基準額は増額されます。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件は少し複雑なので、次で整理していきましょう。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはこんな人

「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはどんな人?3/4

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれのは88万7700円以下

老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

補足的老齢年金生活者支援給付金とは?

1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。

3. 年金生活者支援給付金は《申請必須》令和7年1月以降に65歳になる人は「電子申請もOK」

年金生活者支援給付金を受け取るためには、公的年金と同様に請求手続をおこなう必要があります。

これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が届きます。同封された給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。

3.1 年金生活者支援給付金の請求手続き「電子申請」が可能に

なお、2025年1月以降に65歳に達し、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた人から、スマートフォンとマイナンバーカードを使った電子申請を利用できます。電子申請をおこなった場合、はがき型の請求書の提出は不要です。

マイナポータルからねんきんネット利用した手続きとなるため、電子申請をおこなう前に下記の準備が必要です。

準備するもの

  • スマートフォン
  • マイナンバーカード
    • マイナンバーカード受け取り時に設定したパスワード(数字4桁)
    • 署名用電子証明書パスワード(英数字6桁~16桁)

事前に設定しておくもの

  • マイナンバーカードの「署名用電子証明書のパスワード」の設定
  • マイナポータルの利用者登録
  • マイナポータルとねんきんネットの連携

パソコンでも手続きは可能ですが、スマートフォンなしで手続きをおこなうためにはマイナンバーカードの読み取り装置が必要です。

なお、すでに年金を受給中の人で、所得が下がり年金生活者支援給付金の対象となった場合は、毎年9月1日順次年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送付されます。請求書の太枠内を記入し、郵便ポストに投函すれば手続きできます。

一度申請をおこなうと、支給要件を満たす限り2年目以降の手続きなしで継続して受給できる制度です。継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。

支給対象に当てはまる場合は、忘れずに申請して活用していきましょう。

※すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なります。

参考資料