日本の公的年金制度は「2階建て構造」などと表現されますね。

これは、国内に住む20歳以上の全員が原則として加入対象となる「国民年金」と、会社員や公務員などが国民年金に上乗せ加入する「厚生年金」から成り立つためです。

現役時代に「2階建て」で加入していた人は、老後の受給も「2階建て」となります。ただし、実際に受け取る年金額は、現役時代をどのように過ごしたかにより、個人差が出ます。

今回は、厚生労働省の一次資料をもとに、国民年金・厚生年金の年金月額について見ていきます。公的年金のしくみの基本にも触れていきたいと思います。

1. 2025年度の《基礎年金・厚生年金》3年連続の引き上げ。6月支給分から増える!

公的年金の年金額は、物価や現役世代の賃金を考慮して、年度ごとに見直しがおこなわれます。2025年度の改定内容を見ていきましょう。

なお、下記の改定率が適用されるのは、6月に支給される「4月・5月分」の年金からです。

1.1 《国民年金(老齢基礎年金)》

  • 6万9308円(1人分)

1.2 《厚生年金》

  • 23万2784円(※夫婦2人分のモデル年金額)

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

2024年度の厚生年金のモデル年金額は、22万8372円でした。前年より1.9%、金額にして4412 円の引き上げとなりましたが、昨今の物価上昇を踏まえると、実質的には目減りとなっています。

なお、上記で紹介した厚生年金の月額は、あくまでも標準的とされる夫婦世帯が受け取る「モデル年金」です。実際の受給額は、厚生年金加入期間や、その期間の収入により個人差が出ます。

そこで次では、今のシニア世代が、一人あたりどの程度厚生年金を受け取れているかを見ていきます。