「人生100年時代」の足音が近づくいま。ゆとりあるセカンドライフをはつらつと過ごしたいものですね。でも今のシニアの現状はどうでしょう?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち70歳代の30.6%が「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えています。

また、その理由で最も多かったのが「「物価上昇で支出が増えると見込んでいるから(62.8%)」でした。

働き盛りのわたしたち現役世代は、親や祖父母たちの世代よりも丁寧な老後準備が必要となってくるでしょう。

この記事では、いまの70歳代の貯蓄・家計収支のデータや、公的年金の概況をながめていきます。若い世代のみなさんが、遠い将来に向けた資産づくりを始めるうえでのヒントになればと思います。

1. 【老後のふたり】70歳代夫婦の「貯蓄額」みんなの平均はいくら?

金融経済教育推進機構(J-FREC)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)がどのくらいかを見ていきます。

なお、貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額・中央値はいくら?

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円ですが、この数字は一部の富裕層により引き上げられやすいと言えるでしょう。一方、より実態に近いとされる中央値に目を向けると800万円にまで下がります。

平均と中央値の乖離は、世帯ごとの貯蓄額に大きなばらつきがあることを示すものです。その裏付けとして、貯蓄額ごとの世帯数の割合も見てみましょう。

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

上記のデータによると、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯が全体の19.0%を占めるかたわら、「貯蓄ゼロ世帯」と呼ばれる金融資産を持たない世帯も20.8%となっています。

70歳代世帯の貯蓄事情は、定年退職金や相続の有無、健康状態や世帯構成などの影響をうけ、おのずと世帯差が出ます。

貯蓄が少なめの世帯では、年金生活を支える勤労収入や不労所得などの確保が大切となりそうですね。

次では、2024年12月に公表された厚生労働省の一次資料をもとに、今のシニア世代がどの程度年金(厚生年金・国民年金)を受け取れているかを見ていきます。