1.2 年金生活者支援給付金

次に、知っておきたい国から受け取れるお金として「年金生活者支援給付金」があります。

この給付金は2019年に導入された比較的新しい制度であり、年金を受け取っている世帯でも知らない方が多いのが現状です。

年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の収入が少ない高齢者世帯に対して、生活費の負担軽減を目的に支給されるものです。

受給の条件としては、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることに加え、いくつかの要件を満たす必要があります。

例えば、老齢基礎年金(国民年金)を受給している場合、次のすべての条件を満たすことで「老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である。

なお、給付金の給付基準額は毎年度改定がされており、2025年度の「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額は5450円です。

この給付金は1回限りではなく、要件を満たし続けていれば継続的に受け取れるため、年金が少ない世帯は必ず申請を行いましょう。

1.3 加給年金

ご自身やパートナーが年金を受給している世帯は、「加給年金」についても理解しておくと良いでしょう。

「加給年金」は、厚生年金保険に加入していた方が、一定の条件を満たす配偶者や子どもを扶養している場合に支給される年金で、いわば年金の「扶養手当」に相当します。

留意点として、加給年金は「厚生年金」に加入している方を対象としており、自営業者など「国民年金のみの加入者」は対象外となります。

この年金を受け取るためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 厚生年金保険の被保険者期間が20年※以上であること
  • 65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている配偶者または子どもがいること

※または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

厚生年金に20年以上加入しており、要件を満たす配偶者や子どもがいる場合、最大で約40万円の加算が受けられるため、老後においても安定した収入を確保するための重要な支援になるでしょう。

以上が、年金を受け取っているシニアが知っておきたい、国から受け取れる「お金」の一例です。

では次に、高齢者が対象の「自治体」が実施している支援や助成には、どのようなものがあるのでしょうか。