今、日本において「シニアのおひとりさま」が増加傾向にあります。
内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の一人暮らしの割合は1980年時点では男性4.3%、女性11.2%であったものが、2020年時点で男性15.0%、女性22.1%に達しています。
さらに、この割合が2050年には男性26.1%、女性29.3%まで上昇することが予測されているのです。
「自分の貯蓄は十分なのか」「世間の平均と比べてどうなのか」「年金だけで生活していける人はどれくらいいるのか」このような経済的な不安は、特に一人で老後を迎える予定の方々に共通する悩みと言えるでしょう。
そこで今回は、最新の調査データをもとに、「70歳代おひとりさま」の貯蓄事情や、年金収入と平均支出のバランスについて詳しく見ていきます。ぜひ参考にしてください。
1. 70歳代「おひとりさま」貯蓄事情
まずはじめに「70歳代・単身世帯」の貯蓄状況を確認していきます。
※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 【70歳代】単身世帯:金融資産保有額階層ごとの世帯割合
- 金融資産非保有:27.0%
- 100万円未満:5.1%
- 100~200万円未満:5.7%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:7.3%
- 700~1000万円未満:5.9%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.7%
- 2000~3000万円未満:6.1%
- 3000万円以上:15.9%
- 無回答:2.4%
- 平均:1634万円
- 中央値:475万円
金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代単身世帯の金融資産保有額は、平均で約1634万円、中央値では約475万円という結果です。
1.2 貯蓄2000万円以上と貯蓄ゼロの割合
調査では、2000万円以上の金融資産を保有している割合は全体の約23%であり、4人に1人弱です。一方で、金融資産を全く保有していない割合が約27%であるため、4人に1人強が貯蓄額がゼロという結果となっています。
平均値1634万円と中央値475万円の差からも読み取れるように、70歳代単身世帯の貯蓄額において、大きな格差が生じていることがわかります。
平均値と中央値の数値の考え方は、以下の通りです。
【貯蓄の平均値】
すべての世帯の金融資産額を合計し、世帯数で割った値です。少数の高額資産保有者がいると平均値は上がる傾向があります。
【貯蓄の中央値】
全世帯を金融資産額の低い順に並べた時に、ちょうど真ん中に位置する世帯の金融資産額です。極端に高い資産を持つ世帯の影響を受けにくく、一般的な世帯の状況をより反映しやすい指標とされています。