2025年4月9日、内閣府が「消費動向調査」を公表しました。この調査結果によると、「今後物価上昇すると見込む」と答えた方の割合は回答者の9割を超えています。

筆者が前職の金融機関で営業職に従事していた頃、「少しでも貯蓄をしたいけど、家計がいっぱいいっぱいで余裕がない」という方は意外と多かったものです。

特に、年金生活を送る高齢者に関しては、物価高の影響が家計にダイレクトに響いている世帯もあるでしょう。

近年では、年金を含めた所得が一定基準に満たない方を対象に「年金生活者支援給付金」を支給する政策も実施されています。

現役世代の方には聞き馴染みのない「年金生活者支援給付金」。一体どういうものなのでしょうか。今回は、年金生活者支援給付金について詳しく解説します。

1. 低年金のシニアを支える「年金生活者支援給付金」とは

「年金生活者支援給付金」は、老齢・障害・遺族それぞれの基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定以下である場合に支給されるものです。

年金生活者支援給付金はだれでも受け取れるわけではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。

どのような方が対象となるのか、確認してみましょう。

1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の対象は、下記の支給要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

1.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

1.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

いずれの年金生活者支援給付金にも、前年の所得額が支給要件として関わっています。

次章では、年金生活者支援給付金の給付額について確認しましょう。