内閣府が発表した「消費動向調査(令和7 (2025)年4月実施分)」によると、1年後の物価について「5%以上上がる」と見ている人が全体の55.3%にのぼりました。半数以上の人が「物価はもっと上がるだろう」と感じている状況です。

日々の買い物の中で、物の値段がじわじわ上がっていると実感している方も多いのではないでしょうか。

こうしたなか、物価高の影響を受けやすい低所得世帯に対して、国では給付金を支給する支援策を実施しています。

そこで今回は、現在行われている給付金の支給について、「どんな人が対象になるのか」「いくら支給されるのか」など、確認しておきたいポイントをわかりやすく解説していきます。

1. 6月末に申請期限という自治体も!3万円給付の概要をおさらい

2024年度の補正予算には、物価高騰の影響を受けやすい低所得者世帯、特に住民税非課税世帯を対象とした給付金が含まれています。

この給付金は一世帯あたり3万円が支給され、さらに子育て世帯には子ども一人につき2万円が加算されます。

住民税非課税世帯が対象《3万円給付金》は子ども加算あり1/5

住民税非課税世帯への《3万円給付金》子ども加算あり

出所:内閣府特命担当⼤⾂(経済財政政策)「国⺠の安⼼・安全と持続的な成⻑に向けた総合経済対策」

例えば、「夫婦+対象となる子ども3人」の世帯であれば、支給額は合計9万円です。

多くの自治体ではすでに申請の締め切りが過ぎていますが、中には6月いっぱいまで受け付けているところもあります。
たとえば東京都葛飾区では、締め切りが【6月30日(月)・当日消印有効】とされています。

【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報紙などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。

2. 「住民税非課税世帯」の所得基準はどれくらい?【札幌市のケース】

住民税は前年の所得を基に計算されるため、所得がない場合は住民税もゼロとなり、非課税扱いになります。

しかし、一定の収入以下の場合も非課税となるケースがあります。

住民税が非課税となる世帯は「住民税非課税世帯」と呼ばれ、さまざまな給付金や助成の対象となることがあります。

基準は市区町村ごとに異なりますので、ここでは札幌市の例を見てみましょう。

2.1 所得割・均等割の両方が非課税の世帯

住民税非課税世帯に該当する世帯(札幌市の場合)2/5

住民税非課税世帯に該当するケースとは?

出所:札幌市「個人市民税」

  • 扶養親族を有さない方:45万円
  • 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円

2.2 所得割のみが非課税の世帯

住民税非課税世帯に該当する世帯(札幌市の場合)3/5

住民税非課税世帯に該当する世帯(札幌市の場合)

出所:札幌市「個人市民税」

  • 扶養親族を有さない方:45万円
  • 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+42万円

「収入」から控除や経費を差し引いたものが「所得」です。

具体的な所得金額の基準は、自治体によって大きく異なるため、ご自身が住民税非課税世帯に該当するかどうか知りたい場合は、お住まいの自治体の広報やホームページで確認しましょう。

では、現代のシニア世代はどれくらいの貯蓄を有しているのでしょうか。次章で見ていきます。

3. 65歳以上無職・二人以上世帯の平均貯蓄額はいくら?

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-」によると、65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の貯蓄額に関するデータは以下のとおりです。

世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別現在高の推移(二人以上の世帯)4/5

65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」

「世帯主が65歳以上の無職世帯」の貯蓄の平均貯蓄額は、2560万円でした。

過去5年の推移を見ると

  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円
  • 2024年:2560万円

と、直近5年は右肩上がりとなっています。

2024年度の貯蓄の内訳についても見てみましょう。

  • 定期性預貯金:859万円(33.6%)
  • 通貨性預貯金:801万円(31.3%)
  • 有価証券:501万円(19.6%)
  • 生命保険など:394万円(15.4%)
  • 金融機関外:6万円(0.2%)

貯蓄の種類別に見ていくと、最も多いのは定期性預貯金の859万円。次いで通貨性預貯金が801万円、有価証券(※1)が501万円、生命保険などが394万円、金融機関外(※2)が6万円となっています。

※1 有価証券:株式,債券,株式投資信託,公社債投資信託,貸付信託,金銭信託など(いずれも時価)
※2 金融機関外:金融機関以外への貯蓄のことで、社内預金、勤め先の共済組合への預金など

続いて、年齢層ごとの住民税課税世帯の割合を見ていきます。

4. 高齢者世帯は「住民税非課税世帯」に該当しやすいってホント?

住民税非課税世帯の割合は、年代によって異なります。

厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によると、年代別の住民税非課税世帯の割合は以下のとおりです。

住民税非課税世帯の年代別割合5/5

【一覧表】住民税非課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:12.0%
  • 40歳代:10.0%
  • 50歳代:13.6%
  • 60歳代:21.7%
  • 70歳代:35.9%
  • 80歳代:52.5%
  • 65歳以上(再掲):38.1%
  • 75歳以上(再掲):49.1%

このデータを見ると、年金生活に移行すると収入が減少し、住民税非課税世帯の割合が高くなることがわかります。

年金収入は住民税非課税の基準となる所得を超えないことが多いため、高齢者が非課税世帯に該当しやすくなっています。

また、遺族年金が非課税であることも、高齢者の住民税非課税世帯が多い要因の一つです。

5. 自分に合った貯め方・増やし方を調べることから始めよう

今回は、現在実施されている、低所得者世帯を対象とした3万円の給付金について解説しました。

なお、この給付金は「生活が苦しいからといって誰でももらえる」というものではありません。いざという時に慌てないよう、日頃から少しずつでも蓄えを持っておくことが大切です。

最近は物価高の影響もあり、なかなか貯金ができないという声も多く聞かれます。「余裕があれば投資もしたいけど…」という方も少なくありませんが、近年はNISAやiDeCoといった少額から始められる制度も整ってきました。

まずは、自分に合った貯め方・増やし方は何かを調べてみるところからでも構いません。少しずつ将来に向けた準備を始めていきましょう。

参考資料

マネー編集部社会保障班