昨今問題になっている医学部の入試における女子差別問題を見てわかるように、男女が同じように進学や就労の機会を与えられているにも関わらず「女子だから」という理由による制限があったり、「結婚や妊娠ですぐ辞めるかもしれないから」という理由で年収の高い役職に就きづらい現状があります。また、同じ仕事をしているのに男女で賃金格差があることも少なくありません。

そうした男女のさまざまな格差があるにも関わらず、「家事をしてほしいなら自分と同じくらい稼げ」という理屈は、女性にとって酷なものです。もちろん個々の能力に見合った収入を得ている人も多いですが、こうした日本社会の現状も無視できないのではないでしょうか。

家事は収入に関係なく、できる方ができる時に

夫婦共働きが当たり前となっているにも関わらず、相変わらず家事負担にまつわる夫婦の論争は絶えません。「主婦の家事労働を年収計算するといくらか」といった議論もありますが、家事はあまりにも個々人の生活に密着し、個別のシチュエーションで変化するものであるため数値化はしにくいものです。

専業主婦世帯だろうと夫婦共働き世帯だろうと、「夫婦のどちらかが稼がなくてはいけない」「どちらかが家事をしなくてはいけない」と決めた役割をこなすのではなく、「家事は相手の状況を思いやってできる方ができる時に行う」ということでしかこの論争は解決しないでしょう。

秋山 悠紀