2025年3月31日に帝国データバンクは2024年度4月の「食品主要195社」価格改定動向調査を公表。
これによると、2025年4月の飲食料品値上げはトータルで4225品目にのぼります。また、2025年通年の類型品目数は1万1707品目となり、4月時点で前年実績の9割を超えました。
物価高で多くの家計が悲鳴を上げるなか、2025年度の公的年金は3年連続のプラス改定となり、前年度より1.9%引き上げられています。ただしマクロ経済スライド(※)の発動により、実質的には目減りしているのが現状です。
この記事では、今のシニア世代がどの程度の年金額を受け取れているかを、早見表を使って整理していきます。
※マクロ経済スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
1. 国民年金・厚生年金《公的年金のしくみ》基本をおさらい
日本の公的年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造です。それぞれの年金について基本を整理しましょう。
1.1 国民年金(1階部分)
- 加入対象:日本に住む20歳以上から60歳未満の全ての人が原則加入
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間欠かさず納めれば満額(※2)
-
被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 厚生年金(2階部分)
- 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
- 被保険者:第1号~第4号に分かれる(※6)
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
次では厚生労働省の一次資料をもとに、今のシニア世代がどの程度年金を受け取れているか見ていきましょう。
2. 厚生年金【年金早見表】いまどき60歳~90歳以上《各年齢》の平均年金月額
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、60歳から90歳以上までの各年齢の厚生年金の平均受給額を、1歳刻みで確認していきます。
※なお記事内で紹介する厚生年金の年金額には、国民年金の月額部分が含まれています。
2.1 厚生年金の平均年金月額《1歳刻み&全体》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:9万6492円
- 61歳:10万317円
- 62歳:6万3244円
- 63歳:6万5313円
- 64歳:8万1700円
- 65歳:14万5876円
- 66歳:14万8285円
- 67歳:14万9205円
- 68歳:14万7862円
- 69歳:14万5960円
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
- 80歳:15万1580円
- 81歳:15万3834円
- 82歳:15万6103円
- 83歳:15万8631円
- 84歳:16万59円
- 85歳:16万1684円
- 86歳:16万1870円
- 87歳:16万2514円
- 88歳:16万3198円
- 89歳:16万2841円
- 90歳以上:16万721円
60歳~90歳以上の全受給権者
- 全体平均:14万6429円
- 男性平均:16万6606円
- 女性平均:10万7200円
老齢年金の受給スタート年齢は原則65歳。65歳以降の平均年金月額は、14万円台~16万円台の間におさまっています。
なお、64歳までは繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額となるため、65歳以降よりも低めです。
60歳から90歳以上の全受給権者の平均年金月額に目を向けると、男女全体の平均年金月額は14万円台ですが、男性のみに絞ると16万円台、女性のみに絞ると10万円台と大きな開きがあります。
この男女差は、現役時代の年金加入状況が反映された結果と言えます。男女差と同様に、個人差も大きいのが厚生年金の受給額分布の特徴です。
※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。
3. 国民年金【年金早見表】いまどき60歳~90歳以上《各年齢》の平均年金月額
国民年金(老齢基礎年金)についても見ていきます。
なお、先ほども触れましたが、2025年度の国民年金の満額は6万9308円(月額)です。
3.1 国民年金の平均年金月額《1歳刻み&全体》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:4万3638円
- 61歳:4万4663円
- 62歳:4万3477円
- 63歳:4万5035円
- 64歳:4万6053円
- 65歳:5万9599円
- 66歳:5万9510円
- 67歳:5万9475円
- 68歳:5万9194円
- 69歳:5万8972円
- 70歳:5万8956円
- 71歳:5万8569円
- 72歳:5万8429円
- 73歳:5万8220円
- 74歳:5万8070円
- 75歳:5万7973円
- 76歳:5万7774円
- 77歳:5万7561円
- 78歳:5万7119円
- 79歳:5万7078円
- 80歳:5万6736円
- 81歳:5万6487円
- 82歳:5万6351円
- 83歳:5万8112円
- 84歳:5万7879円
- 85歳:5万7693円
- 86歳:5万7685円
- 87歳:5万7244円
- 88歳:5万7076円
- 89歳:5万6796円
- 90歳以上:5万3621円
60歳~90歳以上の全受給権者
- 全体平均:5万7584円
- 男性平均:5万9965円
- 女性平均:5万5777円
国民年金の平均年金月額は、60歳~64歳までは繰上げ受給を選択した人の年金額となるため4万円台と低めです。また65歳以降の平均年金月額は、いずれの年齢でも5万円台となっています。
なお、60歳から90歳以上の全受給権者の平均月年金額に目を向けると男女ともに5万円台。厚生年金のような大差は見られません。これは国民年金保険料が全員一律であることなどが背景にあります。
次では「繰上げ受給」についても簡単に触れておきましょう。
4. 現役世代から知っておきたい「繰上げ受給」のしくみ
一般的な老齢年金の受給開始年齢は65歳。ただし繰上げ受給の制度を使って60歳~64歳までの間で受け取ることができます。
家計の状況や健康状態などにより、65歳になる前に年金を受給したい場合に活用できる仕組みです。
繰上げ受給を選ぶと繰上げ月数に応じて支給額は減額され、その減額率は生涯続きます。減額率の計算式は以下の通りです。
- 繰上げ受給の減額率=繰り上げた月数×0.4%(最大24%)
年金額の面以外でも、障害年金を請求できなくなる場合がある点や、国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなる点など、いくつかのデメリットがあります。
また、一度繰上げを請求すると取り消すことができません。活用を考えた場合、メリットとデメリットを理解したうえで、慎重に検討していくことが必要となるでしょう。
5. 将来の年金額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認しよう!
今回は、年金のしくみの基本や、60歳から90歳以上の各年齢の平均年金月額を眺めたあと、年金の繰上げ受給についても触れました。
「国民年金のみを受給する人」と「国民年金+厚生年金を受給する人」では、おのずと年金水準が異なります。また、厚生年金を受け取る場合でも、現役時代の年収や年金加入期間により個人差がつきます。
今回ご紹介したデータはあくまでも平均額。ご自身の年金加入状況は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で把握しておきましょう。
参考資料
- 帝国データバンク 「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年4月 2025年4月の値上げ、4225品目 1年6カ月ぶりに4千品目超える 年間累計は1万1707品目、前年実績の9割を超える
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金・国民年金事業の概況」
吉沢 良子