4. 【シニア世帯のお金事情】 厚生年金と国民年金「2025年度はいくらになる?」

公的年金の金額は、現役世代の賃金や物価を踏まえ、毎年度改定されます。2025年1月24日、厚生労働省は2025年度分の年金額を、前年度より1.9%の引き上げると公表しています。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※2

ただし上記はあくまでも「年金例」です。実際に支給される年金額は、現役時代の年金加入状況により世帯差・個人差が出ます。

1.9%の引き上げにはなりましたが、マクロ経済スライド(※3)の発動により、実質的には目減りしている点には留意が必要です。

マクロ経済スライドは、年金給付と保険料収入の均衡が崩れ、将来負担が重くならないように、自動的に給付水準を調整する仕組みです。

年金給付金と保険料収入のバランス

年金給付金と保険料収入のバランス

出所:厚生労働省「給付と負担をバランスさせる仕組み」

マクロ経済スライドは、一般的に下図にある条件で調整を行います。

現行の年金額を決める際、67歳以下(新規裁定者)と68歳以上(既裁定者)で、改定率の計算方法が異なります。

  • 67歳以下:改定率=前年度改定率×名目手取り賃金変動率×マクロ経済スライド調整率
  • 68歳以上:改定率=前年度改定率×物価変動率×マクロ経済スライド調整率

67歳以下は、改定率に賃金変動率が用いられて、68歳以上は物価変動率が用いられます。ただし、68歳以上でも賃金の変動率を用いる例外があるので注意しましょう。

  • ケース1:物価も賃金もプラスだが、賃金が物価ほど伸びていない場合
  • ケース2:物価はプラスだが、賃金がマイナスの場合
  • ケース3:物価も賃金もマイナスだが、賃金のマイナスが大きい場合

物価と賃金の変動状況によって、年金受給額は調整されます。