4月は待ちに待った年金支給日です。この日を待ち遠しく思うシニアも多いでしょう。

ここで気になるのが、「年金額はいったいいくらくらいなのか」ということです。

新入社員の初任給が引上げとなるニュースが続いていますが、初任給レベルはもらえるのか。もしくは月額10万円にも満たないのか…。

そのあたりのイメージがなかなかつかないという方もいるのではないでしょうか。

実は、年金を月額30万円以上もらっているという人はいます。

これだけもらえると老後も安心と思えますが、いくつか注意点もあるのです。

くわしく見ていきましょう。

1. 公的年金制度「厚生年金と国民年金」がある!

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てです。

そもそも上乗せ部分である厚生年金に加入していない場合、月額30万円もの年金を受給するのは不可能です。

公的年金制度の仕組み1/3

公的年金制度の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとにLIMO編集部作成

1.1 国民年金(老齢基礎年金)

国民年金は日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が原則として加入し、一律の保険料(年度ごとに改定)を納めます。

40年間すべて納付すれば老後に満額の国民年金を受給できます。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)

会社員や公務員などは、国民年金の上乗せして厚生年金にも加入します。

厚生年金の保険料は給与や賞与などの報酬に応じて決定されます(上限あり)。そのため厚生年金は個人差が大きく、中には30万円以上もの金額を受給できる人もいるのです。

ねんきんネットやねんきん定期便を利用して、将来の受給額目安を確認することが重要です。

2. 【公的年金】厚生年金と国民年金の受給額にせまる

ここからは、より詳しく年金受給額の実態に迫っていきます。

平均のみでは実態が見えにくいため、1万円刻みの受給権者数も確認していきましょう。

2.1 「厚生年金」の平均年金月額

厚生年金の平均額(全年齢)2/3

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

※国民年金部分を含む

年金月額階級ごとの受給者数

  • 1万円未満:4万4420人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4367人
  • 2万円以上~3万円未満:5万231人
  • 3万円以上~4万円未満:9万2746人
  • 4万円以上~5万円未満:9万8464人
  • 5万円以上~6万円未満:13万6190人
  • 6万円以上~7万円未満:37万5940人
  • 7万円以上~8万円未満:63万7624人
  • 8万円以上~9万円未満:87万3828人
  • 9万円以上~10万円未満:107万9767人
  • 10万円以上~11万円未満:112万6181人
  • 11万円以上~12万円未満:105万4333人
  • 12万円以上~13万円未満:95万7855人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3629人
  • 14万円以上~15万円未満:94万5907人
  • 15万円以上~16万円未満:98万6257人
  • 16万円以上~17万円未満:102万6399人
  • 17万円以上~18万円未満:105万3851人
  • 18万円以上~19万円未満:102万2699人
  • 19万円以上~20万円未満:93万6884人
  • 20万円以上~21万円未満:80万1770人
  • 21万円以上~22万円未満:62万6732人
  • 22万円以上~23万円未満:43万6137人
  • 23万円以上~24万円未満:28万6572人
  • 24万円以上~25万円未満:18万9132人
  • 25万円以上~26万円未満:11万9942人
  • 26万円以上~27万円未満:7万1648人
  • 27万円以上~28万円未満:4万268人
  • 28万円以上~29万円未満:2万1012人
  • 29万円以上~30万円未満:9652人
  • 30万円以上~:1万4292人

30万円以上は1万4292人であり、全体の0.089%のみです。

男女別では1万2164人(0.11%)、女性が326人(0.01%)でした。

2.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額

参考までに、国民年金についても確認しましょう。

国民年金の平均額(全年齢)3/3

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

年金月額階級ごとの受給者数

  • 1万円未満:5万8811人
  • 1万円以上~2万円未満:24万5852人
  • 2万円以上~3万円未満:78万8047人
  • 3万円以上~4万円未満:236万5373人
  • 4万円以上~5万円未満:431万5062人
  • 5万円以上~6万円未満:743万2768人
  • 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
  • 7万円以上~:227万3098人

国民年金は保険料が一律なので、男女差も個人差も厚生年金に比べれば少なくなっています。

しかし、受給額自体は厚生年金の上乗せがないので低めです。この金額で老後生活を送れるかどうか、しっかりシミュレーションが必要です。

3. 高額受給者になりたい!年収はどれほど必要?

厚生年金の受給額は、年収や加入期間などで概算できます。つまり、月額30万円もの年金がほしいという場合は、ある程度年収見込を算出できるということです。

2003年4月からは、年金保険料が毎月の給与に加えて「賞与」からも天引きされるようになりました。

この変更により、年金額の計算基準が変わり、賞与を含めた収入が年金額に影響を与えるようになっています。

  • 2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
  • 2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数

今回は「2003年4月以降に厚生年金に40年間加入」かつ「2024年度は国民年金を満額の6万8000円(月額)受給できる」ケースで、年金を月額30万円以上受け取れる人の年収目安を試算してみましょう。

まずは、年金額(年額)から、満額の国民年金部分(同じく年額)を差し引きます。

  • 360万円(30万円×12カ月)- 81万6000円(6万8000円×12カ月) = 278万4000円(厚生年金部分の年額)

次に、厚生年金が278万4000円となる「平均標準報酬月額(現役時の月の収入)」を計算していきましょう。

  • 平均標準報酬額×5.481/1000×480カ月(40年間)=278万4000円
  • 平均標準報酬額=約105万8000円

平均標準報酬月額は約105万8000円で、これに基づく年間報酬額は約1269万6000円となります。

このため、老後に年金月額30万円以上を受け取るためには、理論的には「40年間の平均年収が約1269万6000円を超える必要がある」と言えます。

かなりの高年収であり、しかもこの水準を40年間保たなければなりません。

厚生年金の年金額計算において、標準報酬月額の上限が65万円、標準賞与額の上限が150万円と定められているため、あとから年収があがってもリカバリーはできないためです。

実際に30万円もの年金を受け取っている人が少ないことにもうなずけますね。

4. 年金だけに頼らない老後を

厚生年金(国民年金を含む)を月30万円以上受給している人の割合を見ていきました。

実際に受け取っている人がいるとはいえ、以下の注意点があります。

  • 実際にはかなり少なく、0.089%のみしかいない
  • その水準を望むのであれば40年間の平均年収が約1269万6000円を超える必要がある
  • 実際に月額30万円以上の年金を受け取っている人は、現役当時の月収が100万円超えだった(ボーナスなしの場合)。どれほどの高額受給者でも、老後に収入が下がるのは避けられない

年金生活に備え、ある程度の生活費のダウンサイジングが必要になるでしょう。

さらに、少子高齢化の日本においては、年金だけに頼らない老後資金準備は重要です。

預貯金だけではなく、近年ではiDeCoやNISAなど初心者でもはじめやすい資産運用があります。資産運用は元本保証がなくリスクを伴いますが、長期・分散・積立投資でリスクを軽減するなど、投資方法や投資対象によってはリスクを抑えることもできるでしょう。

ご自身の将来を考え、まずは情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

参考資料