会社を経営していく上で資金繰りは最重要課題です。経営者はいつも資金繰りを気にしなくてはいけません。中小企業の一般的な資金調達方法は融資。中でも頼りになるのが信用保証協会つきの融資ですが、制度上、保証には限度額があります。枠が一杯でこれ以上保証ができないと言われ融資を断られた経営者も多いのではないでしょうか。
では、保証限度額の枠が一杯になっても融資を受けたい場合、何か方法はあるでしょうか。
保証限度額はいくらまで?
あらためて確認しておきましょう。信用保証協会は、1社あたりの保証限度額を設定しています。無担保の場合8,000万円、担保付きで2億3000万円です。信用保証協会は制度上この枠までしか保証をしてくれません。これが基本です。
経営力向上計画を活用する
経営力向上計画とは、人材育成や設備投資など経営力を向上させる取り組みを行い、労働生産性などを向上させる中小企業を税制や融資などで支援してくれる認定制度です。この認定を受けて計画を進めていくときに必要な資金を、今ある信用保証枠とは別枠で保証してくれます。
これにより、信用保証枠が一杯だったとしても、経営力向上計画を進めていくための資金は融資してもらうことができます。もちろん個別審査により必ず借りられるわけではありませんが、利用してみる価値は大いにあります。
認定は経済産業局や農政局などの国の機関が行い、認定までに1~2カ月程度必要です。融資資金がいつ必要か考え、早めの認定取得をおすすめいたします。
経営革新計画を活用する
経営革新計画とは、新商品・新サービスの開発や、新たな生産や提供方法を導入するような新たな取組を行い、付加価値額や経常利益を向上させる中小企業を、融資などで支援してくれる認定制度です。
経営力向上計画と同様、認定を受け計画を進めていくときに必要な資金を、今ある信用保証枠とは別枠で保証してくれます。経営革新計画の認定は都道府県が行い、認定手順や期間は都道府県により異なりますが概ね2カ月程度です。
それ以外のメリットも
別枠での保証が受けられるようになる経営力向上計画と経営革新計画。実はそれ以外にもメリットがあります。たとえば、ものづくり補助金の審査のときに加点対象になったり、日本政策金融公庫から低利の融資が受けられたりすることなどです。
さらに経営力向上計画に限っては、工業会で認定を受けた生産性が高くなる設備を導入する場合は、設備費用を全額費用にするか、取得価額の10%の税額を減らすかを選べ、法人税上の優遇が受けられます。
まとめ
今回ご紹介したものは、信用保証の枠が一杯で銀行からのプロパー融資も厳しい企業には、とても利用価値の高い制度です。枠が一杯だけれどもさらに資金調達を進め会社を発展させたい中小企業は、同制度に詳しい認定支援機関の顧問税理士や中小企業診断士に相談してみてはいかがでしょうか。
参考記事
中野 裕哲