3. 残業代で社会保険料の負担額はどう変わる?

4〜6月の残業代の有無で、社会保険料負担はどう変わるのでしょうか。実際に計算してみましょう。

この記事では、以下の条件で計算していきます。

  • 給与額20万円
  • 通常の給与額は20万円だが、4〜6月は仕事が忙しくなり、月5万円の残業代が支払われることになった
  • 勤務先は東京都
  • 年齢は45歳

給与額20万円の場合、標準報酬月額は20万円です。40歳以上は介護保険料が健康保険料とあわせて徴収されるため、健康保険料の負担額は1万1580円となります。また、厚生年金保険料の負担額は1万8300円です。

雇用保険料は給与額に対して保険料率が掛けられるため、保険料は1200円です。

健康保険・厚生年金保険の保険料額表(協会けんぽ)

健康保険・厚生年金保険の保険料額表(協会けんぽ)

出所:全国健康保険協会「令和6年3月(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」

一方、4〜6月に5万円の残業代が支払われた場合、給与と残業代の合計は25万円となり、4月から6月の標準報酬月額は26万円となります。よって、介護保険料含む健康保険料は1万5054円、厚生年金保険料は2万3790円です。また、雇用保険料も25万円に対して雇用保険料率が掛けられるため、1500円となります。

標準報酬月額20万円と26万円の保険料の差を比較してみましょう。

《比較表》標準報酬月額20万円と26万円の保険料の差

《比較表》標準報酬月額20万円と26万円の保険料の差

出所:筆者作成

標準報酬月額20万円

  • 健康保険料(介護保険料含む):1万1580円
  • 厚生年金保険料:1万8300円
  • 雇用保険料:1200円
  • 合計:3万1080円

標準報酬月額26万円(給与額25万円)

  • 健康保険料(介護保険料含む):1万5054円(差額:3474円)
  • 厚生年金保険料:2万3790円(差額:5490円)
  • 雇用保険料:1500円(差額:300円)
  • 合計:4万344円(差額:+9264円)

4〜6月に残業代が月5万上乗せされると、9月からは手取り給料額から約1万円が減少します。賃上げや昇進などで給与が上がっても、社会保険料の負担が増えてしまうと、その恩恵はなかなか感じにくいでしょう。

次章では、社会保険に加入するメリット・デメリットを解説します。