5.1 上位に町村が多くランクインしている

上位3自治体はいずれも町村となっています。1〜13位の上位の自治体の規模を市町村別で分けてみましょう。

  • 市:5自治体
  • 町:3自治体
  • 村:5自治体

市が5つに対して、町村は8つと多くランクインしています。自治体の規模と財源の余裕は比例しないといえるでしょう。

5.2 愛知県の市町村が多くランクインしている

上位30自治体の都道府県を見ると、愛知県の市町村が多くランクインしています。愛知県は自動車産業が盛んです。豊田市をはじめ、みよし市や刈谷市は自動車関連の企業や工場などが多く立地しており、固定資産税や法人住民税の収入が多いと推測されます。

また、愛知県には名古屋港があり、物流の拠点となっています。名古屋港は国内の主要な港のなかでも取扱貨物量や輸出量が多いのが特徴です。多くの施設が立地しており、税収が増えていると考えられるのです。

名古屋港「取扱貨物・外国貿易額」

名古屋港「取扱貨物・外国貿易額」

出所:名古屋港管理組合「(4)五大港比較」をもとに筆者作成

愛知県ならではの地理的要素や自動車産業などは、まちの財政にも影響をおよぼしているのです。

5.3 エネルギー関連施設のある自治体が多い

上位30自治体のなかには、エネルギーに関連する施設がある自治体が多いです。いくつか例を見てみましょう。

  • 青森県六ヶ所村:複数の原子燃料サイクル施設の立地
  • 北海道泊村:泊発電所(原子力発電所)の立地
  • 新潟県刈羽村:柏崎刈羽原子力発電所の立地
  • 茨城県東海村:原子力発電所、試験研究炉、再処理施設、加工施設などさまざまな原子力施設の立地
  • 福島県広野町:火力発電所の立地

上位の自治体には、原子力発電所や火力発電所、原子燃料の工場といったさまざまな施設が立地しています。

エネルギー関連の施設は、建設に広大な土地が必要です。施設も複数設置する必要があるため、高額な固定資産税がかかります。発電所などの固定資産税が、上位の自治体の財政基盤となっているのです。

5.4 観光地やリゾート地、交通の要所などになっている

上位の自治体は、観光地やリゾート地として有名な自治体がランクインしています。いくつか例を見てみましょう。

  • 長野県軽井沢町:別荘や高級ホテルなどが多く所在
  • 神奈川県箱根町:人気観光地のひとつで、ホテルや文化施設などが所在
  • 千葉県浦安市:大型テーマパークが立地
  • 千葉県成田市:成田国際空港が立地

いずれも広大な土地を要する建物や複数の宿などがあり、固定資産税や法人住民税による収入が見込まれます。観光地として多くの人が行き来することで、観光関連の収入も増えていると考えられるでしょう。

6. まとめ

市町村の財政状況はさまざまです。上位の自治体を見てみると、工業やエネルギー事業、観光といった産業が盛んなところが共通しています。大きな施設や複数の建物が立地することにより税収が増えており、健全な財政運営ができているようです。

観光資源の活性化による交流人口の増加や、大手企業の立地促進など、地方自治体は収入を増やすためにさまざまな挑戦を続けています。地方がより盛り上がるためには、国の支援も重要となるでしょう。

参考資料

石上 ユウキ