3. 【老後の生活費】最低限必要な金額とゆとりある金額の目安は?
では、具体的にどのくらいの貯蓄があれば安心して老後を過ごせるのでしょうか。
老後の生活費は、最低限の生活費とゆとりある生活費に大きく分けられます。現在の物価高や長寿化を考慮すると、ゆとりある生活を送るにはさらに多くの貯蓄が必要とされる可能性があります。
3.1 最低限の生活費はいくら
総務省が公表した「家計調査報告(家計収支編)2024年 」によると、65歳以上の世帯(高齢者世帯)の1か月の平均支出は約22万円です。
65歳から90歳までの老後25年で必要な貯蓄額は、前述の年金手取り額(約18万~19万円)との差額から、1200万円ほどが最低ラインと試算されます。
しかし、高齢に伴って予期せぬ病気や介護費が必要になることも考えられます。社会保険制度があるとはいえ、実際にはもっと多くの貯蓄が必要になる可能性があります。
3.2 ゆとりある生活に必要な生活費はいくら
一方でゆとりある生活を送るには、生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査 」によると夫婦で平均月額37万9000円となっています。
前述の年金手取り額(約18万~19万円)を差し引くと、月約20万円不足し、老後25年では約6000万円が必要となります。
公的年金だけではこれらの支出をすべてカバーすることは難しく、不足分を補うための貯蓄が不可欠です。
老後の資金に不安がある方は、生活設計を立て、不足する生活費をどのように補うかを早めに検討することが重要です。
4. 年金収入と老後の支出を計算して備えを
今回は平均額を見てきましたが、実際には自身にあわせて考えることが大切です。
まずはねんきんネットなどで自身の年金見込み額を確認しましょう。
また、月の支出はできれば子どもが巣立ったらすぐに、50歳代からはじめたいものです。
50歳代から老後に向けて徐々に生活をダウンサイジングしていくことで、老後の支出を抑えることも可能でしょう。
これを機にご自身の老後について考えてみてくださいね。
参考資料
- J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年3月」
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2024年 」
- 生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査 」
宮野 茉莉子