近年は物価高が続いており、年金生活者や低所得世帯の家計にじわじわと影響が出ています。
そうした中、2024年、政府は「住民税非課税世帯」を対象に、1世帯あたり3万円の支給を決定しました。
また、子育て世帯には2万円の加算もあり、負担軽減を目的とした支援が進められています。
本記事では、給付の概要や対象要件、さらには低年金者が受け取れる「年金生活者支援給付金」まで、もらい忘れを防ぐための重要ポイントをわかりやすくまとめました。
制度を知り、必要な申請を行うことで、生活のゆとりを少しでも取り戻しましょう。
1. 住民税非課税世帯への「3万円給付金」とは?
政府は、物価高による家計の圧迫を受けている低所得世帯を対象に、「1世帯あたり3万円」の給付を行っています。さらに、子どもがいる世帯には「2万円の追加給付」も実施されています。
この制度の給付スケジュールや申請方法は自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の公式サイトや広報を必ず確認しましょう。
次章にて、支給対象となる「住民税非課税世帯」について解説します。
2. 支給対象の「住民税非課税世帯」とは?
住民税には、所得に応じて負担額が変わる「所得割」と、一定以上の所得がある方全員が均等に負担する「均等割」の2つがあります。
住民税非課税世帯に該当するのは、世帯全員が「所得割・均等割の両方が非課税」もしくは「所得割のみが非課税」となる場合です。
2.1 所得割・均等割の両方が非課税
所得割・均等割の両方が非課税となるのは、以下のような方です。
- 生活保護法による生活扶助を受けている方
- 障害者・未成年者・寡婦又はひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- 前年中の合計所得金額が区市町村の条例で定める額以下の方
〈東京23区内の場合〉
同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合
45万円以下
※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。
※23区外にお住まいの方は、均等割額が非課税となる合計所得金額が異なる場合がありますので、お住まいの市町村にお問合せください。
2.2 所得割のみが非課税の世帯
所得割のみが非課税となるのは、前年中の総所得金額等が下記の金額以下の方です。
同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下
同一生計配偶者又は扶養親族がいない場合
45万円以下
※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限ります。
3. 「住民税非課税世帯」に該当する年収の目安
住民税非課税世帯になる年収の目安は、住んでいる自治体によって変わる可能性があります。
例えば、東京都港区では以下の年収が目安となります。
- アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
- 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
- 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
- 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)
65歳以上で年金受給のみの方は155万円以下となるので、給与所得者などに比べて基準額が高くなります。
なお、非課税となる年収の目安は、扶養親族が多いほど高くなります。
ここまで、住民税非課税世帯を対象とする給付金についてご紹介しましたが、低年金者を対象とする「年金生活者支援給付金制度」についても見ていきましょう。
4. 「年金生活者支援給付金」の支給要件
「年金生活者支援給付金制度」は、公的年金等の収入が一定水準以下の方を対象に、年金に上乗せして給付金を支給する制度です。
老齢年金・障害年金・遺族年金を受給する方が対象となっており、詳しい支給要件は以下のとおりです。
4.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
次に、障害年金生活者支援給付金の支給要件もチェックしていきましょう。
4.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。
4.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
※1 遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。
このように、年金生活者支援給付金を受け取るには所得制限が設けられています。
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、公的年金等の収入が88万9300円以下もしくは88万7700円以下とされているので、月額にすると約7万4000円以下の場合は給付を受けられる可能性があります。
次章にて、年金生活者支援給付金の平均給付金額を見ていきます。
5. 年金生活者支援給付金の平均給付金額
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金生活者支援給付金の平均給付金額は以下のようになっています。
- 老齢年金生活者支援給付金:4014円
- 補足的老齢年金生活者支援給付金:2116円
- 障害年金生活者支援給付金:5555円
- 遺族年金生活者支援給付金:5057円
なお、給付金の支給額は、以下の計算式のとおり「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」によって決まります。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5310円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1333円×保険料免除期間/被保険者月数480月
給付基準額である5310円を受け取れる場合、年間で約6万円を受け取れる計算です。
5.1 2025年度の給付基準額は2.7%アップ
2025年度の年金額改定に合わせ、年金生活者支援給付金の給付基準額は5450円(+140円)に引き上げられる見込みです。
なお、年金生活者支援給付金は、申請しないと受け取れないことに注意が必要です。
6. まとめにかえて
住民税非課税世帯を対象とした「3万円給付」や「子ども加算」、さらに「年金生活者支援給付金」など、政府の支援制度は申請が必要なものが多く、情報を見逃すと受け取れないケースもあります。
所得や家族構成によっては給付対象となる可能性があるため、ご自身の状況と照らし合わせて確認することが大切です。
もらえるものはもれなく受け取るために、早めのチェックと手続きをおすすめします。
※対象世帯、支給要件、申請期限、申請方法は自治体によって異なります。LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
7. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説5/5
出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成
7.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する「国民年金」と、会社員や公務員の方が加入する「厚生年金」の2階建て構造になっています。
会社員や公務員は、これら2つの年金制度に加入するため、将来的に国民年金と厚生年金の両方を受け取れます。
なお、これらの公的年金に上乗せする形で任意加入できるのが、企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった私的年金です。
7.2 「繰下げ受給」とは?
「繰下げ受給」とは、公的年金の受給開始を65歳以降に遅らせることで、年金額を増やせる制度です。
受給開始年齢は66歳~75歳まで遅らせることが可能で、1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増加します。
75歳まで繰り下げれば最大84%増額できるため、長生きリスクに備えたい場合は繰下げ受給を選択するのもひとつの方法です。
7.3 年金を増やす方法はある?
繰下げ受給のほかにも、以下のような方法で年金を増やせます。
- 付加年金に加入する(国民年金)
- 60歳以降も国民年金に任意加入する
- 厚生年金に長く加入する
また、年金に上乗せする形で、企業年金やiDeCoなどの私的年金に加入するのもひとつの方法です。
参考資料
- 内閣府「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」
- 杉並区「住民税非課税世帯を対象とした給付金(3万円)について」
加藤 聖人