3. 国民年金のみの人は計画的な備えが必要

男性と女性ごとに、働き方に応じた年金額を見てきました。第1号被保険者と第3号被保険者としての加入期間が長い人は、受給できる厚生年金が少額です。長寿化が進み何歳まで生きるかわからない昨今において、年金額が少ない人は、現役の頃から計画的に資産形成に着手する必要があります。

老後生活に備えるために有効活用したいのが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)です。いずれもリスクを取って運用しながら(iDeCoは必ずしもリスクを取る必要はない)老後資産を計画的に用意でき、運用益が非課税になる税制優遇があります。

例えば、現役のころに得た収入の一部を、株式投資に回す方法が考えられます。投資先の企業によっては毎年配当金を得られ、NISA口座内で運用している場合は配当金にも税金がかかりません。

NISA口座では、最大で1800万円まで非課税投資が可能です(うち、個別株式を購入できる成長投資枠は1200万円まで)。投資元本1200万円に対して、4%の配当利回りで運用できた場合、年間で48万円(月額換算で4万円)の配当金を受け取れます。

国民年金のみの人は計画的な備えが必要

国民年金のみの人は計画的な備えが必要

出所:金融庁「NISAを知る」

企業の業績が好調であれば、株主へ支払う配当金を増やす「増配」が行われる可能性があります。長年にわたって安定した配当金を支払っており、また将来も配当金の支払いが期待できる企業に投資すれば、4%以上の利回りで配当金を受け取ることも可能です。

ただし、株式投資はリスクが伴うため、公的年金のような確実性に欠ける点は必ず押さえておきましょう。配当金が前年よりも減る「減配」や、配当金を支払わない「無配」に陥るリスクが伴うため、投資先企業の財務状況や業績の確認は欠かせません。

4. 【まとめ】年金にプラスαの備えを考えるなら早めが安心

現役世代の方は、「公的年金の額は毎年改定される」「働き方や収入によって年金額は変わる」という点を押さえておきましょう。詳細な金額を知りたい場合は、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を使うことをおすすめします。

厚生年金に加入しない自営業者やフリーランスの方は、年金受給額が少額になりがちです。年金額が少ない点に留意しつつ、現役のころから資産形成を進めるとよいでしょう。

株式投資を行えば、配当金というインカムを得られます。投資先企業の選定は慎重に行う必要がありますが、公的年金の上乗せとなる収入を得るうえで、有用な選択肢となるでしょう。

参考資料

柴田 充輝