日本では「長寿化」や「年金の実質目減り」が進展しており、その影響で定年退職後に働き続けるシニアが増えてきています。
最近では老後資金として2000万円問題が注目され、年金だけでは不十分と感じる人が「老後も働く」という選択をするケースが増加しています。
では、現代のシニア世代は実際にどれほどの年金を受け取っているのでしょうか。
本記事では、シニア世代の就業状況に加え、現代のシニアの年金受給額について、実際のデータをもとに詳しく紹介します。
1. 半数以上のシニアが定年退職後も働いている
総務省の「統計からみた我が国の高齢者」によれば、65〜69歳では52.0%、70〜74歳では34.0%の人が就労しており、シニア層の就業率は過去最高に達しています。
上記の結果からもわかるように、現代では多くの高齢者が働く選択をしており、「定年後は年金だけでゆったりとした老後を過ごす」という時代は過ぎ去ったのかもしれません。
ではなぜ、日本で働くシニアが増え続けているのでしょうか。
1.1 なぜ日本で「働くシニア」が増えているのか
以前と比べ、シニア層の就労率が増加している背景には「年金額の実質的な目減り」が一因として挙げられます。
2025年度の年金改定では前年より1.9%の引き上げが行われ、3年連続の増額となりました。
しかし、物価上昇率に追いつかないため、実質的には「年金額が減少している」のが現状です。
このような状況から「年金だけでは生活が厳しい」と感じる高齢者世帯が増加していると考えられます。
実際に、厚生労働省の「2023年（令和5年）国民生活基礎調査」によれば、年金のみで暮らしている人の割合は41.7%にとどまっています。
上記からも、「年金だけでは生活が厳しい」と感じる世帯が増加しており、その結果、多くのシニア世代が働かざるを得ない状況に追い込まれている現状がうかがえます。
次章では、65～74歳の男女1000名を対象とした調査データを参考に、定年退職後の仕事に関する実態についてさらに深ぼっていきましょう。
