物価高騰が続くなか、食料品や日用品の値上がりが家計を直撃し、とくに年金生活者を中心とした高齢世帯には深刻な影響が及んでいます。
こうした状況を受け、政府は「年金生活者支援給付金」制度を通じて、一定の条件を満たす高齢者への経済的支援を行っています。
本記事では、この制度の概要や対象者、申請方法について詳しく解説します。
1. 「年金生活者支援給付金」制度の概要
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めても所得が一定基準額以下となる人を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金へ上乗せして受け取ることができます。
年金生活者支援給付金は、受給中の年金種類に合わせて3種類あります。
1.1 年金生活者支援給付金は3種類
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2. 【6月支給分から増える】年金生活者支援給付金制度の給付額
公的年金(国民年金・厚生年金)と同じく、年金生活者支援給付金制度の給付額は毎年度改定されます。
2025年度分は、前年の物価変動率に基づき2.7%の引き上げが決まりました。
年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
ただし、老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに保険料納付状況(※保険料納付済期間や免除期間)に応じて計算されます。実際に受け取る金額には個人差が出る点は留意が必要です。
支給要件を満たすと、月額で最大約5000円、1回の年金支給で最大約1万円、年額にすると最大約6万円が、年金に上乗せされることになります。
それぞれの支給要件などを確認しましょう。
3. 「年金生活者支援給付金」の対象者
それぞれの年金生活者支援給付金について、支給要件を見ていきます。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。
※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の年金受給者に向けた制度ですが、基準額を少しでも超えると給付対象外となり、基準額ギリギリで給付対象となる人よりも総所得が低くなる逆転現象が起こる問題がありました。
この不公平を解決するために「補足的老齢年金生活者支援給付金」が設けられています。補足的老齢年金生活者支援給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減少するしくみとなっています。
3.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
3.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に「年金生活者支援給付金」の支給対象に該当します。
ただし、この「年金生活者支援給付金」を受け取るためには手続きが必要です。次で見ていきましょう。
4. 【申請必須】年金生活者支援給付金の申請方法
年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。
対象となる人にはお知らせを兼ねた請求書が届きますが、これを提出しないと「1円も」受け取ることができません。
現在の年金状況により日本年金機構から届く書類は違います。ここでは「これから老齢年金を受給スタートする人」と「すでに年金を受給している人」の2パターンを解説します。
4.1 パターン1:これから老齢年金を受給スタートする人
これから年金を受給開始する人が、年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。
給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。
なお支給要件に該当するか確認できない場合には、上記の「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」とともに、所得情報等を確認するための所得状況届が送られてきます。
4.2 パターン2:すでに年金を受給している人
既に年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。
なお、年金を繰上げ受給中の人には上記とは異なる様式の書類が届きます。
いずれの場合も、申請手続きを一度おこなうと、2年度以降は基本的に手続き不要で受給が可能となります。支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
5. 老後に向けた対策がマスト
ここまで、年金生活者支援給付金について詳しく解説してきました。
年金生活者支援給付金は、物価高の影響を受ける高齢者の生活を支える重要な制度です。
このような支援制度は生活の助けになりますが、ゆとりある老後を送るためには、現役時代からの長期的な準備が欠かせません。
若いうちから資産形成や健康管理を意識し、将来設計を具体化することで、安心で充実した老後生活を実現できるかもしれません。
まずは情報収集から始め、将来に備えた一歩を踏み出してみてください。


