物価の上昇により生活費が高騰しているため、「今の生活を維持するのに精一杯」で「老後の準備」にまで目を向けることが難しいという方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査概況」によると、退職給付のある企業は全体の74.9%で、大卒事務職の「定年退職金の平均は1896万円」となっています。
老後生活の糧となる年金ですが、令和7年度の年金額は1.9%増額するも実質的には目減りとなっており、物価高の影響が家計や貯蓄に響いている方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、総務省や厚生労働省の調査データをもとに【65歳以上の無職夫婦】の「生活費の内訳・貯蓄・定年退職金」の平均がいくらなのか詳しく見ていきます。
シニア世代が受給している「国民年金・厚生年金」の男女別の平均月額もご紹介しますので、老後生活に向けた資金の準備を考えていく際に、お役立ていただけますと幸いです。
1. 【65歳以上の無職夫婦】「毎月の支出・収入」はいくら?
2025年3月11日、総務省統計局は「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を公表しました。ここから、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- 諸雑費:2万2125円
- 交際費:2万3888円
- 仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
毎月の家計収支
- 3万4058円の赤字
この世帯の場合、支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。
一方で、ひと月の収入は25万2818円。その約9割(22万5182円)を社会保障給付(主に公的年金)が占めますが、結果的には毎月3万4058円の赤字となります。貯蓄の切り崩しなどでカバーが必要となるでしょう。
ただし上記の支出の内訳には「介護費用」が含まれておらず、住居費も1万円台となっており、世帯によってはさらにまとまった支出が発生する可能性があります。
そこで気になるが「老齢年金世代」の貯蓄事情です。次では65歳以上世帯の貯蓄額データを見ていきましょう。