2025年2月21日に総務省が公表した「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)1月分」によると、消費者物価指数の総合指数は、前年同月と比較して「4%も上昇している」ことがわかりました。
長らく続く物価高により、家計に負担が生じている世帯が多くいる一方で、日本では「富裕層」が増加傾向にあります。
このようなご時世で、なぜ富裕層が増え続けているのでしょうか。
証券会社の元富裕層担当社員である筆者は、これまで多くの富裕層の方とお会いしてきました。
富裕層の方の多くは、十分な資産があるにも関わらず「資産運用」にもしっかりと目を向けている傾向にあります。
なぜなら、資産運用に関する知識があるかによって「手元に残るお金」が変わる可能性があるからです。
たとえば、通常、資産運用で得た利益に「20.315%の税金」がかかります。
しかし、少額投資非課税制度の「新NISA」を活用することで、利益に対する税金が「非課税」となるメリットが得られます。
なお、「新NISA」の非課税保有限度額は1800万円で、非課税保有期間は無制限です。
今回は、証券会社の元富裕層担当社員である筆者の経験をもとに、富裕層が取り組む「資産運用の3つの共通点」をご紹介します。
1. 富裕層が取り組む「資産運用の3つの共通点」
【写真1枚目/全9枚】富裕層が取り組む「資産運用の3つの共通点」とは。以降で日本の「富裕層の増加傾向」をご紹介1/9
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ここからは証券会社の元富裕層担当社員である筆者の経験をもとに、富裕層が取り組む「資産運用の共通点」についてまとめていきます。
1.1 富裕層が取り組む「資産運用の共通点1」目的を明確にする
富裕層が取り組む、資産運用の共通点1つ目は、目的を明確にすることです。
将来に向けて資産運用をはじめる方が増加傾向にありますが、計画的な運用を行うために、まずは家計の状況などを理解しておくことが大切です。
家計の状況がわかれば、資産運用に用いる余剰資金がいくらあるのか、運用期間をどれくらいにするかなど、計画的な運用を目指せます。
富裕層の方の多くは、家計の資産全体のバランスを把握したうえで、目的に合った資産運用が期待できる投資先を選ぶ傾向にあります。
1.2 富裕層が取り組む「資産運用の共通点2」長期目線で資産形成を目指す
積立投資を「長く続ける」ことで時間の分散に繋がる2/9
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富裕層が取り組む、資産運用の共通点2つ目は、長期目線で資産形成を目指すことです。
資産運用は利益が期待できるだけでなく、価格変動リスクが伴います。
短期で売買を行う手法もありますが、長期投資により、利益を再投資して得られる「複利の効果」が期待できます。
また、積立投資の場合、長期的な運用が「時間の分散」に繋がり、平均購入価格が下がったり、高値づかみや安値売りを避けられたりする可能性もあります。
そのため、富裕層は、家計の状況を見ながら無理のない範囲で、資産運用を長く続けることを目指す方が多い傾向にあります。
1.3 富裕層が取り組む「資産運用の共通点3」緊急時でも運用を継続できるように備えておく
将来に備え、守りを固めておくことも大切3/9
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富裕層が取り組む、資産運用の共通点3つ目は、緊急時でも資産運用を継続できるように備えておくことです。
前述したとおり、富裕層の方の多くは「目的」に向かって長期目線で資産運用を行う傾向にあります。
しかし、万が一ケガや病気などで働けなくなり、収入が減ってしまうと、資産運用を継続していくことが難しくなるかもしれません。
長期投資のメリットを理解している富裕層の方は、万が一に備えて緊急時でも運用を継続できるように、家計において守りを固めることにも目を向けています。
日々の生活費を確保するだけでなく、数年後や不測の事態に備え「生活防衛資金」を用意しておくことも大切です。
ここまで、証券会社の元富裕層担当社員である筆者の経験をもとに、富裕層が取り組む「資産運用の共通点」についてまとめていきました。
日本では、物価高が続くこのご時世においても「富裕層」が増加傾向にありますが、そもそも「富裕層」とはどういった定義なのか詳しく見ていきましょう。
「富裕層と超富裕層」が保有する資産総額の推移についても解説します。
2. 日本における「富裕層のピラミッド」2021年と2023年で比べてみた
2.1 2021年:日本の富裕層「純金融資産保有額」と「世帯数」
2021年:日本の富裕層「純金融資産保有額」と「世帯数」4/9
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
富裕層について語る前に、野村総合研究所の資料をもとに、富裕層について簡単にまとめてみます。
2.2 富裕層とは?
そもそも富裕層とはどのような定義なのでしょうか。
野村総合研究所による報告によれば、富裕層とは「純金融資産で1億円以上保有」している世帯と定義しています。
また、同基準で5億円以上保有する世帯を「超富裕層」と呼んでいます。
2.3 2021年から2023年にかけて、富裕層の「純金融資産保有額」と「世帯数」が増加
2025年2月13日に公表された、株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」によると、2021年から2023年にかけて日本の富裕層は増加しています。
純金融資産を1億円以上5億円未満保有する「富裕層」の世帯数を見てみると、2021年は139.5万世帯でしたが、2023年には153.5万世帯となっています。
物価高により家計に負担が生じている世帯が多くいる一方で、2021年から2023年にかけて富裕層が14万世帯増加していることがわかりました。
では、「富裕層と超富裕層」が保有する純金融資産は、どれくらい増えたのでしょうか。次章で詳しく見ていきます。
3. 【富裕層・超富裕層の純金融資産】2021年から2023年にかけてどのくらい増えた?
長らく続く物価の上昇により、家計に負担が生じている世帯が多い中、富裕層が増え続けているのにはどのような理由があるのでしょうか。
純金融資産保有額の階層別にみた「保有資産規模」と「世帯数」の推移6/9
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
2005年から2023年にかけて、富裕層は増加しています。
富裕層と超富裕層が保有する資産総額の推移は以下の通りです。
- 2015年:272兆円
- 2017年:299兆円
- 2019年:333兆円
- 2021年:364兆円
- 2023年:469兆円
2021年から2023年にかけて、富裕層と超富裕層が保有する純金融資産の合計額は、28.8%増えています。
なぜ、物価高が続くこのご時世において、富裕層が増え続けているのでしょうか。
次章では、日本で富裕層が増えた「3つの背景」について解説していきます。
4. 日本の富裕層が増えた「3つの背景」
日本の富裕層が増えた「3つの背景」とは7/9
出所:MangoStar_Studio/istockphoto.com
それでは、なぜ日本で富裕層が増え続けているのでしょうか。
続いてその背景について見て行きましょう。
日本で富裕層が増え続けている理由として、様々な要因が考えられますが、今回は以下のような要因をあげてみます。
4.1 【背景1】国内外の株価上昇
皆さんもご承知の通り米国の株式市場は長期的に堅調に推移し、ダウ工業平均株価やS&P500といった株価指数は、でこぼこはありながらも長期的に上昇トレンドとなっていました。
また、米国だけではなく、世界的な株高が継続してきたという背景もあるかと思います。
富裕層はそうでない世帯と比較して一般的に株式の保有額やその比率が高いことから、株式市場の環境が資産額の増減に影響を及ぼします。
したがって、世界的な株高の背景は最も大きな背景としてあげられるでしょう。
4.2 【背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大
将来に向けた資産形成8/9
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また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。
NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。
10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。
10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。
先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。
4.3 【背景3】相続や贈与によるもの
相続や贈与により富裕層になる方も9/9
出所:imtmphoto/shutterstock.com
富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。
高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。
一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。
こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。
なかには、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。
5. まとめにかえて
今回は、証券会社の元富裕層担当社員である筆者の経験をもとに、富裕層が取り組む「資産運用の3つの共通点」をご紹介しました。
富裕層の方の多くは、資産運用に取り組む際に「目的を明確にする」「長期目線で資産形成を目指す」「緊急時でも資産運用を継続できるように備えておく」傾向にあります。
物価高が続くこのご時世においても、日本では「富裕層・超富裕層」が増加しています。
将来に向けた資金の準備を進めていきたいと考えている方は、今回ご紹介した「富裕層の資産運用の共通点」をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
なお、資産運用には利益が期待できるだけなく価格変動リスクが伴うため、金融商品ごとに異なる特徴や、ご自身のリスク許容度をよく確認したうえで検討することが大切です。
ライフプランに合った資産運用を目指すために、「家計の収支の状況」や「資産全体のバランス」を把握することからはじめましょう。
参考資料
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- 金融庁「NISAを知る」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)1月分(2025年2月21日公表)」
安達 さやか