6. 年金生活者支援給付金が《不該当》となってしまうケース
年金生活者支援給付金は、一度請求手続きをおこなうと、支給要件を満たす限り継続的に受け取ることができます。
ただし毎年、前年分の所得額等を確認して支給要件に当てはまるかどうかの判定が実施され、その結果によっては、不該当となります。
年金生活者支援給付金の支給要件に「不該当」となるのは以下のようなケースです。
6.1 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金を受給していた方
- 受給者の令和5年分の所得額等が、88万9300円(※1)を超えている場合
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円 - 同一世帯に市町村民税が課税されている方がいる場合
6.2 障害年金生活者支援給付金または遺族年金生活者支援給付金を受給していた方
- 受給者の令和5年分の所得額が、472万1000円(※2)を超えている場合
※2 扶養親族等の数に応じて増額されます。
なお、不該当の判定が出た場合でも、のちに下記のような変化があった人は、「年金生活者支援給付金請求書」の再提出により、年金生活者支援給付金を受給することができる可能性もあります。
- 所得額の更正がおこなわれた
- 世帯構成が変更になった
- 年金の支給が再開した
7. まとめにかえて
今回は年金生活者支援給付金について解説をしていきました。国からの給付金制度は定期的に行われています。見逃さないようにアンテナを張っておくのがいいでしょう。
冒頭でもお伝えしたように自助努力で老後資産を準備する必要性が高まっています。物価の高騰を考えると、預金だけではなく資産運用も視野に入れるのも選択肢のひとつです。
ただし、資産運用にはリスクが伴います。取り入れる際は慎重に比較検討してから取り入れるようにしましょう。
8. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
8.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
8.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
8.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2024」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
LIMO編集部