2025年1月24日に厚生労働省が公表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、今年度の年金額は前年度に比べて1.9%の引上げとなります。
具体的にいくらぐらい増えたかというと、国民年金(1人分(満額))は1308円増えて6万9308円の受給額。厚生年金(夫婦2人分の国民年金を含む標準的な年金額)は、4412円増えて23万2784円の年金額の受給額となっています。
最近は物価高の影響で生活コストの負担が増えて大変という方も多いため、年金額が増えることは素直に喜ばしいことだと言いたいですが、ここで1つ注意点があります。
それは、年金の受給額は額面金額をそのまま受け取れるという訳ではなく、現役時代同様に税金や社会保険料を天引きされるということです。
筆者が前職の金融機関に勤務していた時も、額面では年金額20万円を超えているけど、税金等引かれて最終的な手取りは20万円もないという高齢者の方は多かったです。
また、この天引き額は多くの場合「10月から」変わる人もいます。
ただでさえ少ないと聞く年金。いったい税金や社会保険料がどのくらい引かれるのか気になりますよね。今回は年金から天引きされる税金や社会保険料について詳しく解説していきます。
10月に天引き額が変わる理由もご説明します。
1. シニアの生活資金源は公的年金がトップ
まずは、2024年12月、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の「二人以上世帯」の調査結果から、60歳代・70歳代の老後における生活資金源に関する回答を見てみましょう。
1.1 「公的年金が老後の生活の柱」60歳代で79.8%→70歳代は87.3%
- 就業による収入:60歳代41.6%→70歳代19.7%
- 公的年金:60歳代79.8%→70歳代87.3%
- 企業年金、個人年金、保険金:60歳代37.5%→70歳代32.6%
- 金融資産の取り崩し:60歳代31.2%→70歳代30.8%
- 利子配当所得:60歳代12.2%→70歳代13.2%
- 不動産収入(家賃、地代等):60歳代4.2%→70歳代5.3%
- こどもなどからの援助:60歳代1.0%→70歳代1.7%
- 国や市町村などからの公的援助:60歳代3.3%→70歳代4.9%
- その他:60歳代5.2%→70歳代5.0%
60歳代では41.6%だった「就業による収入」は、70歳代になると19.7%まで大きく減少します。一方、「公的年金」を収入源とする人の割合は、60歳代の79.8%から70歳代では87.3%へと増加します。
現役時代は勤労所得が、リタイア後は公的年金が家計を支える主な収入源となる人が多いのは自然なことです。その一方、少子化や長寿化が進む中で「年金だけに頼るのは不安」と感じる人も増えています。
個人年金や貯蓄、投資などで備えを考える人もいますが、一方で「公的年金があるから大丈夫」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、日本の公的年金制度は「国民皆年金」であり、すべての国民が加入する仕組みであるものの、その制度やルールの詳細については、意外と知られていないことが多いのが現状です。
そこで次に、公的年金に関する「老齢年金の意外な盲点」について詳しく解説していきます。老後の生活設計に役立つ情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。