「漆芸」を用いた卒業制作がX上で話題になっています。

投稿したのは、Xユーザーの@sumire_morinoさん。

当ポストは2025年2月19日時点で2万7000件を超えるいいねを集めるなど大きな反響を呼んでいます。

漆芸にまつわる投稿が話題となったことに関連し、記事後半では伝統的工芸品の生産額についても紹介します。

※今回紹介するポストは、投稿者様の許可を頂いております

1. 「漆芸」を用いたスキー板とスノーボード板

卒業制作の雪中用漆具1/4

卒業制作の雪中用漆具

出所:@sumire_morino

「卒業制作 雪中用漆具三式」というコメントとともに投稿されたのは、1枚の写真でした。

そこに収められていたのは、スノーボードとスキーの用具一式。板やヘルメット、ストックには目玉焼きやクジラなどユニークな柄が描かれていますが、こちらはなんと漆塗りの作品だというのです。

漆芸とウィンタースポーツという斬新な組み合わせと美しい漆のデザインに目を奪われますね。

2. 大学で漆芸を学ぶ杜野菫さんの卒業制作

話題となった作品は、大学で漆芸を学ぶ杜野菫さんの卒業制作です。

杜野さんは幼少期からスキーを始め、中学で絵、高校でスノーボード、そして大学で漆芸を始めたとのこと。そんな杜野さんのこれまでの集大成となったのが、卒業制作の「雪中用漆具三式」です。

藍色が美しいスノーボードにあしらわれたのは、杜野さんの代表的なモチーフである鯨と鯱。螺鈿と銀をふんだんに使い、さまざまな技法で海の中を表現しています。

細部まで美しい雪中用漆具2/4

細部まで美しい雪中用漆具

出所:@sumire_morino

赤のスノーボードには、伝統的な漆の赤にポップな目玉焼きを装飾。白身は鶉の殻を1枚ずつ貼り、黄身は梨地で仕上げています。

独創的なスキー板3/4

独創的なスキー板

出所:@sumire_morino

そしてスキー板にはスキーヤーの姿が…。こちらは銀箔と梨地漆を塗り重ねられています。

漆芸の美しさを感じる雪中用漆具4/4

漆芸の美しさを感じる雪中用漆具

出所:@sumire_morino

細部まで見るとより漆芸の美しさと杜野さんのこだわりが感じられます。

3. 完成まで2年かけた雪中用漆具三式

ユニークで美しい作品で多くの人を驚かせた雪中用漆具三式

そんな雪中用漆具三式を制作した経緯について聞いてみると、「工芸は需要が減り、後継者を養えないので後継者を取らない…そんな流れで潰れていく工房がたくさんあります。今の時代に合っている工芸とは、『自分がお金を払ってでも欲しくなるもの』『漆芸は使ってこその魅力があるのではないか』と考えました」

さらに続けて、「そして、ウィンタースポーツはストリートカルチャーの流れから来ている唯一無二の"スタイル"を大切にするスポーツです。工芸も唯一無二でかっこいいものですので、相性が絶対にいい、自分が欲しいと思い制作しました」と杜野さんは説明します。

完成までの期間は約2年間。苦労した点については、「加飾も大変でしたが、1番時間がかかっていて、大変なのは塗りです。何度も塗りと研ぎを繰り返していました。地味な話ですが、クジラや目玉焼きをぷっくりと盛り上げるのも大変でした」とのこと。

こだわった点は、「使えることにとにかくこだわりました。スノーボード、スキーとして性能を落とさないように、ソールやエッジ周りは触れず、ビンディングにも干渉しないようになど、かなり工夫しました。自分が使うように制作しているので、自分が欲しいデザイン、ゲレンデで使いたいデザインをひたすら追い求めました。さらに、一般の人にも工芸を面白いかっこいいと思えるデザインにしました。3種類のデザインをバラバラにしたのもそれです」と熱く語ってくれました。

今回の投稿の返信や引用欄では、「めちゃくちゃ格好良い」「伝統工芸の新しい活かし方」といった具合に、絶賛するコメントが続出しています。

4. 伝統的工芸品の2020年度の生産額は870億円

漆芸のウィンタースポーツ用品が話題となったことに関連し、ここからは伝統的工芸品の生産額を紹介します。

伝統的工芸品とは、伝統的な技術や技法、原材料を用いて作られた、主に日常生活で使用する工芸品のこと。経済産業大臣の指定を受けたもののみが伝統的工芸品と呼ばれ、漆器では輪島塗や津軽塗、会津塗などが指定されています。

文化庁「経済産業省説明資料」によると、2020年度の伝統的工芸品の生産額は870億円。2016年度に1000億円を下回って以降、減少傾向にあります。

いかがだったでしょうか。今回は、Xで話題になっている漆芸のウィンタースポーツ用品を紹介しました。

参考資料

小野田 裕太