みんなの平均貯蓄額と中央値はどのくらいなのでしょうか。今回は2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」を分析することで貯蓄の実態を分析していきたいと思います。また気になる老後資金を視野に入れた貯蓄方法も併せてご紹介していきます。

みんなの貯蓄額の平均とはどのくらいか

貯蓄額の平均とは

「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](平成29年)によると、金融資産保有額(金融資産保有世帯)は以下の通りです。

  • 平均値:1729万円
  • 中央値:1000万円

前年度の調査結果の平均が1615万円、中央値が950万円となっています。こうしてみると、金融資産保有額が大きく増加していることがわかります。その理由の一つとしては、好調に推移する好調な株式市場の影響を受けたことは誰もが納得なのではないでしょうか。

貯蓄額の平均額1729万円って、みんなそんなに持っているのか

「貯蓄額の平均額は1729万円です」というと「えっ?!皆さん、そんなに貯蓄をしているの?」と思う方が多いと思います。

ただし、これには理由があります。調査の方法が「金融資産保有世帯」の金融資産保有額になっているからです。つまり「(金融資産を)持っている人の平均値」ということになります。

同調査から金融資産を保有していないと回答した世帯も31.2%となっており、およそ1/3の世帯では金融資産が「ゼロ」であるということが分かります。

では、全体の平均値と中央値はどれくらいなのでしょうか。

  • 平均値:1151万円(前回1078万円)
  • 中央値:380万円(前回400万円)

どうでしょうか。先ほどよりは平均値も中央値もいずれも大きく下がりました。ただ、それもでも「貯蓄で1000万円」というと「そこまでは持ち合わせていない」という方も多いのではないでしょうか。では、どうすれば貯蓄を積み上げていくことができるのでしょうか。そこで、今回は私たちにとって身近な金融商品と制度について見ていきましょう。

資産形成層にとって使い勝手の良い金融サービスとは

投資信託

投資信託は投資のプロが投資対象の中から最適な銘柄や金融商品を選んでくれる金融商品です。「何に投資すればいいのかわからない」といった方向けの投資商品でもあり、貯蓄初心者の方にもおすすめの金融商品といえるでしょう。

投資信託に投資するメリットは毎月貯金のように決まった金額を積立(つみたて)することもできる点にあります。この「積立(つみたて)投資」ですが、毎月一定金額を投資することで「ドルコスト平均法」も活用することができます。投資対象の株価動向(トレンド)次第の側面はありますが、負けにくい投資方法を実践することができることもあります。

また、投資信託の場合はインカムゲイン(分配金)も期待することができる商品もあります。もっとも投資した投資信託のパフォーマンスが本当に良いのであれば再投資が最適です。意外にプロ投資家でも「利益を確定した後に、次なる有望な投資機会を見出すことは難しい」というコメントもよく耳にします。

毎月分配型投資信託等は定期的にお小遣いをゲットすることもできて楽しみという投資家もいますが、長期で資産形成を目指す層は、再投資してでも投資し続けたい投資対象を探すことに時間をかけるのが良いのではないでしょうか。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)をご存知でしょうか?

ざっくりいえば、自分で運用する年金です。ただし、制度として十分に活用するとメリットが大きいのが特徴です。

個人型確定拠出年金の積立額は「所得控除」の対象になるので「節税」効果も高い積立です。また売却益や受け取った配当金なども「非課税」になるため、長期で資産形成を目指す投資家にとってはメリットだらけの投資といえます。

まとめにかえて

ここまで見てきたように貯蓄額は平均値と中央値をみると「格差」が広がっていることが分かります。近年は個人型確定拠出年金(iDeCo)など毎月小額から始めることができる金融制度もあります。

年金だけでは老後の生活は不安だという方は多いのではないでしょうか。自分ができる範囲から、制度も活用しながら少しずつ資産運用を始めていくのが良いでしょう。

投資というと、数日や数週間で資産が何倍にもなったという成功体験ばかりが目立ちますが、時間をかけてじっくり資産家価格が上昇していくというパターンを目指す方が精神的にも、また日常生活の中で投資にかける時間が少なく済むというメリットがあります。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部