はじめに

中間管理職は企業にとって欠かせないポジションですが、具体的にどのような役割があるのでしょうか。また中間管理職はストレスが多いと言われることが多いことで知られていますが、その理由は何なのでしょうか。この記事では中間管理職の仕事内容や必要な能力を知り、中間管理職の正しい立ち振る舞い方を考えてみましょう。


目次

1. 中間管理職とは?
2. 中間管理職になるのは何歳くらい?
3. 中間管理職にはどんな能力が必要?
4. 中間管理職の働き方の基本は?
5. 中間管理職によくあるストレスの原因は?
6. 中間管理職の心得とは?
7. 中間管理職向けのセミナーを利用しよう

1. 中間管理職とは?

多数の企業では中間管理職と呼ばれるポジションの人達がいます。中間管理職とは部下を持って管理職としての仕事をしながらも、さらに上にも管理職がいて部下としての役割もあるポジションです。

企業では代表取締役社長を筆頭として各部署の部長、その部署の各課の課長、さらにその課の中にある各係の係長がいてその下にチームやプロジェクト単位で主任やリーダーを置くといった形で階層構造が作られているのが一般的です。この階層構造の中で中間管理職は主に部長、課長、係長、主任のことを指します。しかし大手企業では部長まででほとんどの決裁が行われるようになっていて、実質的には現場では部長が最も上の立場になっていることもあり、その場合は中間管理職とは課長以下を指すこともあります。

中間管理職は企業によっても仕事内容や裁量にも違いがあるようです。例えば、大手では部下の育成を任せられ、業務について決済権も持っていることが一般的なのに対し、中小企業やベンチャー企業のように規模が小さい会社では管理職と現場の距離が近く、中間管理職でも決裁権をほとんど持たないという場合もあるようです。

2. 中間管理職になるのは何歳くらい?

中間管理職には何歳くらいの方が多いのでしょうか。労務行政研究所による「役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向」によると中間管理職になる年齢は係長で平均32.7歳、課長で平均39.4歳となっており、大学卒業後に就職したとすると勤続年数が10年ほどで係長になると想定しておけば良いということになります。

ただし、近年は若くてポテンシャルがある人を早めに中間管理職に抜擢するという考え方が広まってきており、中間管理職の年齢層が低下してきている傾向があります。その理由は見込みがありそうな人材は早めに主任や係長クラスのポジションにおいて長く中間管理職の経験を積ませ、その中でも優秀な人を抜擢して課長や部長へと昇進させていくという形が主流になりつつあるからのようです。

これまでは会社の規模が小さいほど若いうちから昇進させる傾向が強くありましたが、近年では大企業でも早期に中間管理職に若手を取り入れる方針を持っている企業が増えてきているようです。

3. 中間管理職にはどんな能力が必要?

中間管理職は現場に近いところで早期に決裁を行い、迅速にビジネスを展開できるようにするために置かれているものですが、実際にどのような能力が求められるのでしょうか。

問題解決能力

中間管理職にまず求められる能力は問題解決能力です。現場で大小のトラブルが発生したときに、何が問題であるかを明確にして適切な対応を取れることが求められます。

決断力

現場で問題が起きた時に、現場で解決可能なのか、上層部に話を持ち込んで解決を図るべきものなのかも速やかに判断できなければなりません。解決可能だと判断できたときには速やかに部下を動かして適切な対応を取らせ、状況に応じて自らも実務に携わります。決裁のスピードを上げるために置かれているポジションだからこそ、正しい決断がより迅速にできるかに対する要求が大きいのが一般的です。

マネジメント能力

中間管理職には部下の育成を担いつつ、適切なマネジメントを行う能力も求められます。会社によって求められる教育やマネジメントの範囲には違いがありますが、部下の将来性を高めるために必要なスキルアップについて提案したり、仕事の成果やプロセスに対してほめたり叱ったりすることで部署全体の能力を高めていく役割が重視されているポジションです。

4. 中間管理職の働き方の基本は?

通常会社員は役職がないときには上司から下された命令に従って業務を遂行するのが一般的ではありますが、中間管理職になり部下を持つと、プレーヤーとして前線で仕事をするだけではなく、自分は動かずに部下を動かす役割を求められるようになります。

中小企業やベンチャー企業では課長クラスになってもまだ現場の実働部隊の一員として働くこともありますが、通常はポジションが上になればなるほど前線は離れ、部署として行わなければならない業務全体を把握し、適材適所で部下に仕事を配分することにより現場全体を回していくのが仕事となります。

そのために必然的に生じるのが部下の教育やマネジメントをする業務です。現場で必要とされている能力やスキルが何かを考え、部下にその習得を促すことで業務の質を向上させて、能力が不足しているためにミスが多発している場合には、問題となっている人材に対して適切な教育をして補うか、人材配置を換えて業務に支障が生じないようにするマネジメントを行うことが求められます。このように現場の人材を最大限に活用して現場監督としての役割を果たすことが求められているのが中間管理職の特徴です。

5. 中間管理職によくあるストレスの原因は?

中間管理職は管理職の立場として部下の行った仕事に対して責任を負います。もともと優秀だからこそ中間管理職に昇進したというケースも多いため、自分ならやらないようなミス部下がして、大きな失敗をしてしまったときに責任を取るのはストレスになるかもしれません。

また部下の仕事の成果が上がらないのも上司の責任とされてしまいます。部下が指示通りに仕事をして失敗したなら自分の責任だと受け入れやすいですが、部下が指示に従わずに失敗をした場合にも責任を取らされる場合も多くあります。

また成果をあげるために部下の教育に力を注いでも思うように育たない場合も少なくありません。中間管理職の場合には自分にも上司がいるので常に成果を上げるようにプレッシャーをかけられ、板挟みの状況になってどうすべきかわからないという状況に陥ってしまうこともあります。そして悩みを抱えていても、同じようなポジションの人が身近にいない場合も多く、ストレスを一人で抱え込まなければならないケースもあるようです。

6. 中間管理職の心得とは?

中間管理職は気苦労も多く、難しいポジションではありますがうまく立ち回れば現場全体の士気を上げ、成果をあげることに繋がります。

コミュニケーションをとる

現場でうまく立ち回るためには、コミュニケーションをしっかりとるという心得を持つと良いでしょう。中間管理職はいわば上層部と部下の橋渡しをする役割を持っており、会社がどのような方針を持っていて、自分が担当している部署が何をすべきなのかを判断し、適切な形で部下に業務を行わせることが必要です。そのためには上層部とのコミュニケーションを密にして会社の方向性を正しく理解したうえで、部下とも積極的にコミュニケーションを取り、常に信頼してもらえる関係を作り出すことが大切です。

プレーヤーではなく現場監督、もしくはマネージャーに徹する

中間管理職になりたての頃には今まで自分がプレーヤーだった姿を追い求めてしまい、自分1人の成績や利益をあげようとしてしまうこともあるかもしれません。しかし中間管理職になったら部下をうまく使ってチーム全体として成果を上げていくというスタンスで仕事に取り組むことが大切です。

たとえ自分がやればすぐにできるという仕事の場合でも部下に任せ、成長する機会を与えていくとチーム全体としての総合力が高まり、最終的には成果がよく上がる体制が整うようになっていくのです。

7. 中間管理職向けのセミナーを利用しよう

中間管理職として働き始めたばかりの時はこれまでとは違う能力を求められ、職務内容が変わる事に戸惑い、自分は本当に適任なのかと悩む人もいるかもしれません。中間管理職として経験を積むことが解決となる場合が多いでしょうが、仕事をする上で不安を抱えている場合には、中間管理職向けに用意されているセミナーに参加してみるのも良いでしょう。

社会人向けの講座として実施されているセミナーの中には、中間管理職向けのものも多数あり、有名な講師を招いて実施される座学を中心としたセミナーや、時には実践的な演習を含んでいるセミナーも開催されるようになってきています。

中間管理職向けのセミナーではリーダーシップについて具体的な事例を交えて理解を図ったり、グループワークを取り入れて実践的にマネジメントスキルを習得する機会を得られたり、新人教育のノウハウを伝授してもらったりする内容が代表的なものです。ほめ方や叱り方などの日常的なスキルの習得を目指すセミナーも多く、部下との付き合い方に悩んでいる人にも有用なトレーニングの機会になるでしょう。

また中間管理職向けのコンプライアンス対策やメンタルヘルス対策などのセミナーも実施されていますので、中間管理職になりたての方はこのようなセミナーを活用して中間管理職として活躍できるように努めてみてはいかがでしょうか。

おわりに

中間管理職は会社の意向を汲みつつも現場に立って業務を遂行させるバランス感覚が求められるポジションです。会社が求めることや現場での意見などの板挟みになり、気苦労が多いこともあるでしょう。

しかしコミュニケーションを密に取りながらうまく現場を回せるようになれば、自分一人で成果を出した時とはまた違った大きな喜びややりがいを感じることもできるでしょう。中間管理職としての心構えや仕事の仕方を徐々に覚え、日々努力を続けることで、会社にとってなくてはならない存在になれるのではないでしょうか。

LIMO編集部