2025年4月1日に公表された日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」によると、2025年度の年金額は前年度と比べて原則1.9%の引き上げとなります。
老後の生活設計を考えるうえで、毎月の家計の実態や年金額の目安を知ることは大切です。本記事では、65歳以上無職夫婦世帯の1ヵ月の家計収支や平均貯蓄額、2025年度最新の年金額例を紹介します。
年金に頼るだけでなく、貯蓄や生活スタイルの見直しを含めた老後への準備を進めるための一助として、ぜひお役立てください。
1. 【老齢年金世帯】65歳以上の無職夫婦「1ヵ月の収入・支出はいくら?」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2024年12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、60歳代・70歳代の二人以上世帯の60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答。
年金にゆとりがない理由として「物価上昇」「医療費・介護費負担の増加」などが上位に挙がっています。
完全リタイア後の老齢年金世帯では、現役時代よりも収入が下がるケースが一般的ですから、今後も引き続き、こうした負担感が増えることが見込まれるでしょう。
まずは、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を確認していきます。
1.1 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の収入
- 収入合計:24万4580円
- うち社会保障給付(主に年金)21万8441円
1.2 【老齢年金世帯】65歳以上無職夫婦:毎月の支出
- 消費支出:25万959円
- 非消費支出:3万1538円
支出合計28万2497円
この世帯の場合ひと月の収入は24万4580円、その約9割(21万8441円)を公的年金などの社会保障給付が占めます。
一方で支出の合計は28万2497円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万1538円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万959円でした。
この夫婦世帯の場合、毎月約4万円の赤字となり、貯蓄の取り崩しなどで補填する必要があります。
そこで気になるが「老齢年金世代」の貯蓄事情です。次では65歳以上世帯の貯蓄額データを見ていきましょう。