3. 【AIがPCにもたらす新しい価値】メリットが明確な4つのエッジAIによる独自機能

次にdynabook XP9の大きな売りとなっているソフトウェアにおける特徴を紹介します。それぞれエッジAIならではの強みを生かした独自機能で以下の4つで構成されます。

  • ローカル生成AIチャットボット
  • 高度なバッテリー管理
  • 顔検知プライバシー保護
  • 遠隔ハンド操作

それぞれどのような機能なのか、説明します。

3.1 ローカル生成AIチャットボット(dynabook Aアシスタント)

AIサービスをビジネスで利用するときにネックになっているのが、情報をネットワークにあげなければいけない点です。機密情報などは規定で許可されていないケースが多く、便利な要約や翻訳機能を使えないという声はよく聞かれます。

一方、dynabook XP9のローカル生成AIチャットボットは、ローカルで完結しているため、機密情報であっても高いセキュリティ環境下で翻訳や要約を実行でき、情報漏洩などのリスクを低減できます。

また、Windowsの設定方法などテクニカルなサポートについてもAIがチャット形式で回答してくれるなど、即座に幅広いアシストを受けることができるのもメリットです。AIが会話ができるバーチャルキャラクターを作成するなど、無機質ではない機能もうれしいポイントといえます。

3.2 高度なバッテリー管理(AIパワーオプティマイズ)

コロナ禍を経て働き方が変わったときに、ユーザーからの不満で上がってきた声として多かったのが、「オンラインミーティングをするとバッテリーの減りが早くなる」ということでした。そのために、ACアダプターを常に携帯したり、充電場所を探したり、不便が発生していたため、今回のエッジAIではバッテリー管理に特化した機能も搭載しています。

具体的にはオンラインミーティングをAIが自動で検知し、最適化することでバッテリーを長持ちさせます。使用状況によって前後するものの、同社は本機能を使うことでdynabook XP9であれば「8時間連続でオンラインミーティングすることも可能」としています。

3.3 顔検知プライバシー保護(AIプライバシーアシスト)

PCを自宅や外出先で利用するときには、情報をのぞき見されないかという懸念があります。別売でプライバシーシートなどを活用する手もありますが、dynabook XP9ではよりスマートにAIによってこの問題を解決しています。

機能としては、AIがのぞき見を検知し、画面上部にアラートバーで警告するというものです。また、簡単な操作で表示画面をブロックすることもできるようにしています。作業を中断させないために、いかにさりげなくユーザーに伝えるかという部分にこだわったとのことです。

3.4 遠隔ハンド操作(AIハンドコントロール)

手が濡れていたり、汚れていたりするとき、PCのキーボードやタッチパッドには極力触りたくないものです。そんなときに便利なのが、離れた場所からジェスチャーでPCを操作するAIハンドコントロールです。

ハンドサインは再生/一時停止、コンテンツ送り、早送り、巻き戻しの4種類。エッジAIを活用することで、シンプルなサインでも高精度で指示通りに動くようになったそうです。ビジネスにおいても、プライベートにおいても、使えそうな汎用性の高い機能といえそうです。

4. 【AIがPCにもたらす新しい価値】dynabook XP9の価格・発売日は?

dynabook XPの店頭予想価格は税込29万円台前半。25年4月に発売される予定です。フラッグシップモデルということもあり価格もプレミアムですが、「次世代PCの性能をいち早く体験したい」「AIの力で生産性を上げたい」という方には最適な選択肢になりそうです。

また、エッジAIに注力したモデルということもあり、セキュリティにおいてはとりわけ既存PCと差別化が図られています。機密性の高い情報を個人PCで扱うという方にとっては、現時点で他に替えが効かない相棒になってくれるでしょう。

参考資料

大蔵 大輔