令和5年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」が公表されました。この資料では、国民年金や厚生年金の受給者数、受給額、また繰上げ・繰下げ受給状況など、年金受給に関する詳しいデータが記載されています。
年金制度については5年に一度、見直しされており、今国会では年金制度について議論される予定です。将来の生活費となる大切なお金のことですから、みんなが安心して年金を受け取れるよう期待したいものです。
そこで今回は、最新の年金データより、厚生年金・国民年金の受給額について、とくに70歳代、80歳代の方の平均月額を、1歳刻みで見ていきます。老後の生活費を考えるときなど、参考にしてみてください。
1. 【年金の基本知識】国民年金・厚生年金とは?
1.1 国民年金とは?
日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入するのが国民年金です。
国民年金の被保険者は、職業などにより第一号被保険者・第二号被保険者・第三号被保険者の3つに分類されます。
第一号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など、
第二号被保険者・・・会社員や公務員など、
第三号被保険者・・・第二号被保険者に扶養されている配偶者
第一号被保険者は自分で保険料を納付し、保険料は定額(※令和6年度は月額1万6980円)で、毎年見直しされます。
第二号被保険者の保険料は加入の厚生年金から支払われるため、国民年金の負担はありません(ただし、厚生年金保険料は支払います)。
同様に、第二号被保険者の扶養者である第三号被保険者も、第二号被保険者の加入制度が負担するため自己負担はありません。
1.2 厚生年金とは?
厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度です。したがって、会社員や公務員は国民年金と厚生年金の両方に加入していることになります。
厚生年金の保険料は、給料や賞与の額から標準報酬月額、標準賞与額を決定し、保険料率をかけて計算されます。保険料の半分は勤め先の会社が負担し、被保険者は残りの半分を、給与から天引きして支払います。
厚生年金の場合、現役時代の給料や勤務期間(厚生年金保険料納付期間)は一人ひとり異なります。そのため、将来受け取る年金額は、国民年金よりも個人差が大きくなるのが特徴です。