2. 年金積立金のポートフォリオ
年金積立金の運用は、リスクを極力抑えながら成果をあげていく必要があります。そのため、複数の資産に分散してバランスを見ながら投資しています。資産の構成割合は以下のとおりです。
- 外国株式:63兆1688億円(24.98%)
- 国内株式:60兆6457億円(23.98%)
- 外国債券:61兆4429億円(24.30%)
- 国内債券:67兆6049億円(26.74%)
- 総資産額:252兆8623億円
- 利回り:4.26%(2024年第2四半期まで)
どの資産も25%に近い割合となっており、国内外の株式と債券にバランスよく投資していることがうかがえます。総資産額は252兆8623億円と、昨年度の年金の歳出決算である50兆2116億円の約5倍近い金額です。
運用成績も好調で、2023年度の名目運用利回りは4.33%、名目賃金上昇率を差し引いた実質運用利回りは4.24%でした。今年度まで設定されている運用目標が実質運用利回り1.7%ですから、目標を上回る利回りとなっています。
2024年度第2四半期の現在での名目運用利回りは4.26%と、昨年度末に比べてやや悪化しました。第2四半期に限って見てみると、3.57%のマイナスと損失を出しています。
GPIFはこの要因を、以下の2つであると公表しています。
- 日本の利上げと欧米の利下げによる金利差縮小に基づく円高
- 日本の利上げ発表後の8月5日に日経平均株価が大幅に下落したことによる株安
それでも運用利回りはプラスであることから、依然として安定した運用が続けられているといえるでしょう。
次章では年金積立金の運用と年金制度の存続について解説します。