近年、物価の高騰が続く中、高齢者の生活はますます厳しい状況に直面しています。2024年11月には「住民税非課税世帯への3万円給付」が閣議決定されましたが、この給付だけで豊かな生活を実現するのは困難といえます。
また、2025年度の年金額について厚生労働省が1月24日に公表したところによれば、年金額は1.9%の増額改定となっています。
しかし、厚生年金に加入していたにもかかわらず、月10万円未満の年金しか受け取れない人も少なくないのが現実です。
老後に安心して暮らすためにも、年金について正しく理解し、早めの対策を講じることが大切です。
本記事では、年金が少なくなってしまう原因や、その対策について詳しく解説します。
国民年金と厚生年金の平均月額や受給割合もご紹介しますので、ぜひご自身の将来設計にご活用ください。
1. 公的年金の仕組みをおさらい!自分はどの年金タイプを受け取れる?
「将来、自分が年金を受け取ることはわかっているけれど、どの年金タイプを受け取るのかはよくわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこでまずは、日本の公的年金制度の構造について簡単におさらいしておきましょう。
結論からお伝えすると、将来受け取れる年金の種類や額は、現役時代の働き方に大きく関係しています。
年金には主に「国民年金」と「厚生年金」があり、それぞれの加入条件や支給額が異なります。
つまり、自分がどの年金に加入しているか、またどのように働いていたかによって、受け取る年金が決まるのです。
- 国民年金のみ受給:自営業者・フリーランス・専業主婦など
- 国民年金と厚生年金を受給:会社員・公務員など
日本の公的年金は「2階建て構造」となっており、1階部分にあたる「国民年金」は、日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が原則として加入対象です。
国民年金の保険料は定額で、40年間にわたって保険料を納めると、満額で受給することができます。
一方で、2階部分を構成するのが「厚生年金」で、国民年金に上乗せされる形で支給されます。
厚生年金は主に会社員や公務員が対象で、加入者の年収に基づいて保険料が決まります。
では、「国民年金」と「厚生年金」それぞれで、どのくらいの年金額が支給されるのでしょうか。
次章では、これらの平均額と受給割合について詳しく見ていきましょう。
2. 「国民年金・厚生年金」の平均月額と受給割合
公的年金の受給額は、現役時の「加入した年金制度」や「納付期間」、「収入の額」などにより大きく異なります。
本章では、厚生労働省年金局の発表したデータを参考に、国民年金と厚生年金の平均受給額とその受給割合について詳しく紹介します。
2.1 国民年金の平均月額・受給割合
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額および受給割合は下記のとおりです。
【国民年金の平均月額】
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
【国民年金の年金月額階級別の受給者数】
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
ほとんどの受給者が月額6万円から7万円程度を受け取っています。
2025年度の場合、国民年金の満額は「6万9308円」ですが、国民年金だけで10万円以上を受け取るのは現実的には難しいと言えるでしょう。
では、厚生年金の受給額はどのようになっているのでしょうか。
2.2 厚生年金の平均月額・受給割合
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額・受給割合は下記のとおりです。
【厚生年金の平均月額(国民年金を含む)】
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【厚生年金の年金月額階級別の受給者数】
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金は、国民年金に上乗せされるため、一般的に国民年金よりも受給額が多くなりますが、全ての受給者が高額な年金を受け取っているわけではありません。
実際、厚生年金受給者の約2割は「10万円未満」の受給額となっており、5人に1人が「低年金」と言える状態です。
厚生年金の額は、現役時代の年収や加入期間に大きく依存するため、年収が低かったり、加入期間が短かったりする場合、厚生年金でも受給額が少なくなる可能性があります。
では、なぜ年金が少ない人がいるのか、その理由と対策について、次章で詳しく見ていきましょう。
3. 低年金になる3つの理由と対策方法
本章では、将来受け取る年金が「少なくなってしまう理由」と、その「対策方法」について紹介していきます。
3.1 厚生年金の加入期間が短いから
厚生年金に加入していれば、基本的に国民年金よりも年金額は多くなりますが、加入期間が短い場合、国民年金に上乗せされる厚生年金の部分が少なくなります。
たとえば、「1年だけ会社員として厚生年金に加入していた」といった短期間の加入では、年金額はほとんど増加しません。
また、現役時の年収も厚生年金の受給額に大きく影響し、高収入の人ほど、受け取る年金額も多くなりますが、低収入の人の場合、年金額が少なくなる可能性があります。
厚生労働省の資料によると、40年間の加入期間を前提にした収入別のモデル年金例が示されています。
※2024年度の水準で示した年金額です
【加入年数を40年とした場合の厚生年金額(国民年金を含む)】
- 現役時の報酬が54万9000円:年金額18万6104円
- 現役時の報酬が43万9000円:年金額16万2483円
- 現役時の報酬が32万9000円:年金額13万8862円
- 現役時の報酬が37万4000円:年金額14万8617円
- 現役時の報酬が30万円:年金額13万2494円
- 現役時の報酬が22万5000円:年金額11万6370円
- 現役時の報酬が14万2000円:年金額9万8484円
現役時の報酬が14万2000円の人と54万9000円の人では、年金額に倍以上の差が生じることがわかります。
このように、厚生年金の場合は、現役時の収入や加入期間が年金額に大きな影響を与えるため、「高い年収を得て、できるだけ長く加入し続けること」が、より高い年金を受け取るためのポイントとなります。
3.2 国民年金の未納期間がある
国民年金の未納期間があると、年金額が減額されるため、注意が必要です。
特に、受給資格を満たさない場合は「無年金」となり、年金を受け取れないことがあります。
国民年金を受給するためには、「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年以上である必要があります。
たとえ9年11ヶ月保険料を納めていたとしても、10年に満たない場合は年金が支給されず、「払い損」となってしまうこともありますので、未納期間がないか確認することが重要です。
もし未納期間がある場合は、追納を検討することをおすすめします。
追納により、年金額を増やすことができるだけでなく、社会保険料控除を活用することで、所得税や住民税を軽減できるメリットもあります。
留意点として、追納ができる期間は「追納が承認された月の前10年以内」に限られているため、検討している方は早めの行動を心がけましょう。
3.3 年金の不整合記録問題が関与している
年金の不整合記録問題も、低年金や無年金になる原因となるため注意が必要です。
「不整合記録問題」とは、主に第3号被保険者が扶養を外れる際に、手続きが漏れることで発生する問題です。
この手続き漏れにより、年金記録が正確に反映されず、結果的に低年金や無年金になることがあります。
国民年金は、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3つに分類されています。
「第3号被保険者」は、公務員や会社員などに扶養されている配偶者で、個別に年金保険料を納める必要はありません。
しかし、扶養から外れたり、離婚などで第3号被保険者でなくなると、第1号または第2号被保険者に移行し、自分で年金保険料を納める義務が生じます。
この際、手続き漏れがあると、「年金保険料の未納期間」が生じ、結果的に年金額が減額される可能性が高くなります。
最悪のケースとして、受給資格期間が足りないために年金を全く受け取れないこともあるため注意しましょう。
もし「3号不整合記録問題」が発生した場合、政府は救済措置を提供しているため、早急に年金事務所に相談し、必要な手続きを行うことをおすすめします。
4. 早めの老後対策を
本記事では、老後に受け取る年金が「少なくなる人」の特徴と、その対策方法について詳しく解説しました。
年金だけでは、物価の上昇や医療費の増加に十分対応できない可能性があります。現在の年金見込額を把握するためには、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用することをおすすめします。
まずはご自身の年金見込額を確認し、それをもとに具体的な目標を立て、早めに対策を講じることが重要です。
この記事でご紹介した内容を参考にしながら、ライフプランに合った最適な方法を見つけ、将来に備えてください。





