4. 《老後資金の準備》NISA vs iDeCo「2つの非課税制度」私はどちらに向いている?

老後に必要となるお金は、ライフスタイルや世帯構成などにより個人差があります。ただし、年を重ねることで医療費や介護費など「シニア特有」の大型支出が発生する可能性も想定しておきたいものです。

預貯金を着実に増やすとともに、資産運用の活用を平行しておこなうのも良いでしょう。税制優遇制度である「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」の活用を検討するのも一案です。

両制度ともに、少額からの投資が可能で、投資から出た利益が非課税となる制度です。

4.1 NISA vs iDeCo「2つの非課税制度」それぞれのメリットを紹介

NISAのメリット

NISAのメリットは下記のとおりです。

  • 1つの口座で「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できる
  • NISA口座で保有する金融商品は、必要なタイミングで売却し現金として引き出すことができる
  • 非課税保有期間が無期限となり、保有期間に関係なく非課税で運用ができる
  • 一度売却した分、非課税枠を再利用でき、次の投資に回すことも可能

 iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは下記のとおりです。

  • 掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税・住民税が軽減される
  • 一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用される
  • 原則として60歳まで引き出しは不可。流動性には欠けるものの、着実に老後資金を準備したい人にはおすすめ
  • 元本確保型(定期預金や保険商品)もあり、価格変動型の商品(投資信託)での資産運用に不安がある人にもおすすめ

4.2 NISA vs iDeCo「2つの非課税制度」私はどちらに向いている?

NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は、いずれも運用益が非課税となる税制優遇制度です。先述のメリットなども踏まえ、それぞれの魅力をまとめてみましょう。

NISAは流動性の高さが魅力

NISAはつみたて投資枠と成長投資枠を、一つのNISA口座で両方使うことができます。「毎月少額をコツコツと積み立てながら、ボーナス月はまとまった資金で投資にトライしたい」という人などは、メリットを最大限に生かせるかもしれません。

NISAの大きな魅力は、流動性の高さです。どちらの投資枠も好きなタイミングで売却して現金化できます。そのため、自由に資産を管理したい方や、気軽に投資を始めたい方にとっては使いやすいでしょう。

iDeCoなら高い節税効果が期待できる

一方、iDeCoは「積立方式」一択となるうえ、原則として60歳まで資金を引き出すことができません。これは、iDeCoが年金制度の一環であり、老後資金の準備を目的としているためです。

しかしiDeCoの魅力は、税制優遇による高い節税効果が期待できる点と言えるでしょう。

毎月の掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。また、運用益は非課税で、受取時も一時金の場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金等控除が適用されます。

NISAとiDeCo「私はどっちに向いている?」と迷っている場合は、

  • フレキシブルな運用をしたいならNISA
  • 節税効果を重視する場合はiDeCo

から検討してみると良さそうですね。

5. 老後資金は「年金+α」で備える

今回は、公的年金やiDeCoとNISAについて解説してきました。

老後の生活費についてリアルな数字を見て、不安になった人もいるかもしれません。

また、年金の受給額は今後もどうなるかわかりません。物価の変動によって増減し、受給中に「思ったより少ない…」と感じる人もいるでしょう。だからこそ、「年金+α」の備えが重要になります。

そこで検討したいのが、NISAやiDeCo。どちらも老後資金を増やすのに有効な方法ですが、選び方は人それぞれですが、先述の通り下記のような特徴があります。

  • 安定した資産形成をしたい → iDeCo(税制優遇あり)
  • 柔軟に資産を運用したい → NISA(自由度が高い)

もちろんリスクもあるので、慎重に検討すべきです。

あなたの生活スタイルや将来設計に合う方法を選び、今から準備を始めてみませんか? 早く始めるほど、老後の安心感が増すでしょう。