女子テニスの全米オープン決勝、海外はどう見た?

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決勝の舞台となったニューヨーク郊外のアーサー・アッシュ・スタジアム(写真は2016年の全米オープン開催時のもの)

先日行われたテニスの全米オープン女子決勝で、大坂なおみ選手が日本人として四大大会で初めての優勝を果たしました。このときの対戦相手は、大坂選手の憧れのプレイヤーであるセリーナ・ウィリアムズ選手。ところが、試合中に主審から「違反行為をしている」と警告が与えられたウィリアムズ選手は、それに対して抗議し、その結果、さらなるペナルティを与えられることとなりました。

表彰式ではブーイングが起こるなど、波乱の幕切れとなったこの全米オープン決勝を、海外はどのように見ていたのでしょうか。あらためて世界の反応をまとめてみました。

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ウィリアムズ選手の主張

ウィリアムズ選手は主審に対し「あなたは私から点をかすめ取った、泥棒だ!」と抗議しています。彼女はこれに関して、「男性プレイヤーであれば警告されることはないのに、自分が女性であるから警告をされた」と、主審の判断は女性差別だという考えを示しています。

SNSでは、

「彼女の言い分は間違っていない」
「ナダルやジョコビッチであれば同様のことをしても警告で点を失うことはなかった」

と彼女を擁護する声が上がっています。

加えて、女子テニス界の重鎮であるビリー・ジーン・キング氏は、ウィリアムズ選手の悪態については批判しつつも、彼女の言い分は正しいと擁護しています。そのほか、スポーツ・コラムニストのクリスティン・ブレナン氏や、元テニスプレイヤーのアンディ・ロディック氏も、今回の件を受け、テニス界における女性差別を指摘しています。

ウィリアムズ選手への非難も多数

一方で、アメリカのニュースチャンネル、CNNでは、ウィリアムズ選手の行動によって、大坂選手の素晴らしいプレーが影をひそめる形となったとして、ウィリアムズ選手の抗議について批判してもいます。

ウィリアムズ選手が主審を「泥棒」と呼んだことや、ラケットをコートに叩きつけたことに対して、

「スポーツマンシップに反する」
「あの態度で『差別と闘う女性の代表』と自称するのはいかがなものか」

などと非難する声も上がっています。抗議の内容が妥当だとしても、ウィリアムズ選手の行いは大坂選手へのけん制になったともいえ、それに対して「大坂選手に謝るべきだ」と考える人は多いようです。

オーストラリア紙の風刺画が議論に

この試合については、世界各国のマスメディアが報道していますが、そんな中で、オーストラリアの新聞「ヘラルド・サン」が掲載した一枚の風刺画が、さらなる議論を呼んでいます。

その風刺画というのは、誇張して描かれたウィリアムズ選手が、コートで地団駄を踏むようにラケットの上でジャンプして、ラケットはボロボロになっている、というものです。ウィリアムズ選手の近くにはおしゃぶりが転がっており、奥には主審から「彼女を勝たせてやってくれないか」と言われる大坂選手らしき女性も描かれています。

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https://t.co/i1NBGO8xJw

風刺画は差別的?

この風刺画に対し、「人種差別的かつ性差別的だ」という批判が殺到しています。ハイチ人の父と日本人の母を持つ大坂選手ですが、この風刺画の大坂選手らしき人物は、色白で金髪の選手として描かれており、それに対しても同様の批判が数多くなされています。

『ハリー・ポッター』で有名な作家のJ.K.ローリング氏は、自身のTwitterで、「人種差別・性差別主義者によるお決まりのたとえで、最も偉大な女子スポーツ選手の一人をけなし、次に素晴らしい女子スポーツ選手を顔のない小道具として扱っており、よくできている」と皮肉を込めて強く非難しました。

しかし、この絵を掲載したヘラルド・サンは「人種差別・性差別ではなく、ウィリアムズ選手の競技中の悪態を非難したものだ」と反論しています。この反論はさらにSNSで話題となり、議論は「こういった表現が許されなければ、何を描いても差別になる」など、ポリティカル・コレクトネス、つまりあくまで中立で政治的に妥当な表現を批評の場でも用いるべきかどうか、あるいはそうした考えが正しいのかどうかについてまで言及されるほどになっています。

今後のテニス界はどう変わるか

とはいえ、こうした風刺画を巡る議論を含め、全米オープン女子の決勝についての論点は「ウィリアムズ選手が非難した主審の判断の是非」と「ウィリアムズ選手の悪態について」の二点であり、これらは分けて考えられるべきでしょう。

大坂選手は表彰式で「このような形で試合が終わってしまい、残念だ」と述べています。実際、彼女にとっては非常に複雑な試合となってしまいました。ただ、現在のテニスを取り巻く環境がまだまだ理想的とは言えないことは、今回の件に関連して数多くのテニス関係者が問題点を指摘したことからもわかります。

この騒動を機に、テニス界の体制がよりよいものへと変化し、再び大坂選手とセリーナ・ウィリアムズ選手とのすがすがしい試合が見られることを期待したいところです。

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。