筆者である私は普段、独立系ファイナンシャルアドバイザーとして従事しておりますが、お客様からの依頼で多いものといたしましては「老後生活が不安である」というものです。
総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全 国 2025年(令和7年)2月分」によれば、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比は3.0%の上昇です。
一方で、毎年度改定される年金額ですが、2025年度は1.9%の増額となります。
物価高ほどは年金額の増額は対応できていないため、不安を感じる方は多いでしょう。
とはいえ、年金の増額自体は嬉しいもの。ただどれくらい増えるのか、いつから増えるのかは気になります。
今回は2025年度の年金額と今のシニア世代の年金受給額をみていきます。
1. 公的年金の仕組み
「日本の年金制度は2階建て」としばしば表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と2階部分に当たる「厚生年金」から成り立つためです。
それぞれの年金の基本をおさらいしておきましょう。
1.1 1階部分:国民年金
加入対象者はどんな人?
- 原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
年金保険料はいくら?
- 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
老後の受給額はどう決まる?
- 保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢厚生年金を受給できる(※2)
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金
加入対象者はどんな人?
- 会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入
年金保険料はいくら?
- 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
老後の受給額はどう決まる?
- 加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい
このように、国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決まり方、老後の年金額の計算方法などが異なります。そのため現役時代の年金加入状況により、実際の受給額には個人差が出ます。
次では厚生労働省が公表した、2025年度の年金額改定について見ていきます。
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。