70歳代は、引き続き働きたい人もいれば、「もうゆっくりしたい」と年金生活を始める人も多い年代です。しかし、年金だけで生活するには、物価高が続く現状で不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、70歳代の「おひとりさま」の貯蓄状況を詳しく見ていきます。「貯蓄2000万円以上」の人と「貯蓄ゼロ」の人ではどちらが多いのか、そして老後の生活費を年金だけでまかなっている人の割合についても解説します。
1. 70歳代おひとりさまの平均貯蓄額・平均・中央値はいくら?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、70歳代のおひとりさまの貯蓄額は以下のとおりです。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 70歳代おひとりさまの金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100万~200万円未満:4.3%
- 200万~300万円未満:4.1%
- 300万~400万円未満:3.3%
- 400万~500万円未満:2.5%
- 500万~700万円未満:6.6%
- 700万~1000万円未満:5.1%
- 1000万~1500万円未満:8.6%
- 1500万~2000万円未満:5.3%
- 2000万~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
- 無回答:2.3%
上記のデータにおける70歳代おひとりさまの貯蓄額の平均値は1529万円、中央値は500万円です。
平均の貯蓄額が「1529万円」と大きい数値ですが、上記のデータのうち貯蓄額が突出している「2000万~3000万円未満:8.2%」や「3000万円以上:17.3%」が大きく影響していると考えられます。
そのため実態をみるときは、値の小さい順、もしくは大きい順に並べた真ん中にある値の「中央値」の方が参考になります。つまり、70歳代おひとりさまの多くは貯蓄額が500万円ほどといえるでしょう。
なお、この調査における「金融資産」とは「運用または将来の備えとしての資産」のことで、日常的に使う預貯金等は含まれません。
ちなみに「金融資産非保有」と答えた方の中で、銀行口座を持っていて、かつ、預貯金の額を回答した世帯のみの平均預貯金額は「372万円」です。
仮に、金融資産非保有(26.7%)の方を「貯蓄ゼロ」として、貯蓄額2000万円以上(25.5%)と比べてみると、1.2ポイント貯蓄ゼロの人が多いということになります。
高齢になり生活を支えるのは公的年金。次は、高齢の方々のうち、年金だけで生活している人の割合をみてみましょう。