年収1000万円の求人広告はなぜみんな気になるのか

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「年収1000万円以上」と記載された求人広告が気になる方も多いのではないでしょうか。年収1000万円を手にできる人はどの程度いるのでしょうか。また、どのような企業に勤務する人なのでしょうか。公開データをもとに見ていきましょう。

年間給与所得1000万円以上の人は日本に何人いるのか

国税庁が毎年9月下旬に「民間給与実態統計調査」の概要を発表しています。この調査は各年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間事業者に限る)に勤務している給与所得者を対象としています。

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さて、平成28年分の同調査の中から「1年を通じて勤務した給与所得者」である4869万人のうち、給与所得として1000万円以上を手にした人が約208万人であることが分かります。

4869万人のうち208万人といえば全体の約4%にあたります。この4%を高いと感じるか低いと感じるかは個人差があるかもしれませんが、一般的には少数という認識でよいのではないでしょうか。年間の給与所得として1000万円を手にすることができる人の割合が4%だとすれば、求人広告としては十分に目を引く給与水準といえます。

年間給与所得が1000万円を超える会社を知る方法とは

では、年間の給与所得が1000万円を超える企業はどのようにしたらわかるのでしょうか。お金の話は親しい友人や知人の間でもなかなか口にできないものではないでしょうか。

上場企業が公に開示する資料の中でも情報量が最も多い資料として「有価証券報告書」というものがあります。有価証券報告書の中には従業員の平均年間給与所得や平均年齢が記載されています。このデータポイントは平均値ではあるものの、各企業の雇用内容を知ることができます。ちなみに平均年間給与には賞与や基準外賃金が含まれています。

給与が1000万円を超える企業とは

先ほどの指摘した有価証券報告書をもとにどのような企業に勤めれば1000万円を手にできるのかを見ていきましょう。

ざっくりといってしまえば、総合商社、金融機関、製薬会社、メディア、広告代理店といった一部の偏った産業に属する企業において平均年間給与が1000万円を超える傾向が見て取れます。

中には、上記の業種ではないものの、キーエンスのように平均年間給与所得が2000万円を超える企業や、ファナックやソニーのように製造業でありながら企業もあります。

もっともこうした産業の大手企業は就職人気企業でもあり、有名私立大学の卒業生が好んで就職したがる企業でもあります。給与の高い企業に就職するまでにかかった教育費用が「投資」という位置づけであるならば、高給の企業を目指すのはある側面からは当然ということもあるでしょう。

ただ、良い大学に進学したからといってみんながもれなく年間の給与として1000万円を必ずしも手にできるというわけではありません。新卒で入社した会社で給与面で「(就職活動時に)思ったのと違う」と思えば数年の実務経験を経れば転職も以前と比べれば比較的実行しやすい環境にはなりつつあります。その際に改めて狙うのは日本の約4%しか手にできない「年収1000万以上」というのはおかしな話ではありません。

青山 諭志

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慶應義塾大学卒業後、国内大手及び外資系大手金融機関に合わせて10年以上勤務し、株式市場を中心にマーケット関連の仕事に従事。その後独立。金融機関では主にアナリストとして企業や産業調査活動に従事。調査内容としてはミクロ・セミマクロが主な分析対象だが、好きなのはマクロ分析。記事で取り扱うテーマはマーケット、企業分析といった株式市場関連の分析や貯蓄といった個人の資産運用(パーソナルファイナンス)を取り扱う。最近は「富の分配」問題や「お金持ち」である富裕層研究にも時間を割いている。その他に興味のある分野はブロックチェーン技術とゲノム(ジーノム)。