おしゃれな100円ショップというと皆様の中でもハッと気づく方もいるのではないでしょうか。その100円ショップは「セリア」ではないでしょうか。今回はセリアの業績動向についてみていきましょう。
セリアの足元の業績はどうか
2018年7月31日にセリアは2019年3月期Q1決算を発表しています。売上高は419億円と対前年同期比+8%増、営業利益は同40億円と同▲3%減となるなど、増収減益の決算となっています。
増収にもかかわらず、減益になっている背景は何でしょうか。Q1決算短信の中では次のようにコメントされています。
販売費及び一般管理費については、人件費率が上昇したことなどにより、売上高に 対する比率が1.0ポイント上昇したため、当第1四半期累計期間の売上高営業利益率は9.7%(前年同期10.7%)と なりました
同社に限りませんが、人件費の増が収益を減じてしまう要因になっていることが小売業ではよく見られるようになっています。
気になる既存店売上高
では、小売業を見る上で重要な既存店売上高はどうでしょうか。
Q1決算期の4-6月をみると、6月を除いては既存店売上高は100%を割れています。4月が98.8%、5月が98.8%といずれも100%を割れています。もっとも6月には101.5%と100%を超えたものの、7月には再び98.7%と100%を割れています。
また、既存店売上高を構成する客数と客単価についてみてみましょう。4月以降で見た時に大きな傾向はありませんが、客数が4、5、7月において100%を割れています。また、客単価は4、7月と100%を割れています。
もっとも2018年3月期(いわゆる2017年度)にも遡ってみて見ますと、既存店売上高は2017年10月、2018年1-3月が100%を割れています。
セリアの今後の注目点
2018年3月期決算資料によれば、2019年3月期の直営既存店前年比は通期で99.9%、またその内訳として上期が99.5%、下期が100.3%となっており、直営に関しては上期は100%割れは前提のようです。
2019年3月期の直営店の出店は150店舗、また退店が55店舗となっており、ネット増が95店舗ということになります。
今後は既存店売上高と新規出店が計画通りに進むのかは重要でしょう。また、同社に限らず人件費等が上昇する中で、そのコストアップを売価に転嫁できるのか、ただそこは100円ショップならではの難しさがあるのかなどに注目したいところです。
青山 諭志