近年、物価高や日本経済の不安定さにより老後生活の経済的な不安が高まっています。そこから、老後の生活費として年金収入の他に資金を作るための資産運用手段として関心を高めているのがNISA制度です。
2024年6月時点の50歳代のNISA口座開設数は約461万口座となっています。これは、日本の50歳代の人口である約1831万人のおよそ25%であり、つまりは50歳代のおよそ4人に1人がNISA口座を保有していることになります。ここからも、NISA口座に興味を示す割合の多さがわかりますね。
今回は、2024年1月からスタートした新NISA制度を活用し、50歳から65歳までの15年間、毎月一定額を投資した場合の資産形成についてシミュレーションしてみます。
ぜひ皆さんの資産形成の参考にしてください。
1. 新NISA制度とは
まずは2024年1月から開始された、新NISA制度の概要について説明をします。
2. 新NISA制度の概要
新NISA制度とは、少額から投資を開始する人向けの課税制度である「少額投資非課税制度」を指すものであり、従来の旧NISA制度よりも投資額や投資期間の枠が広がったことにより投資の幅が拡大されたものです。NISA制度を利用するために開設をするNISA口座では、取引した株式や債券などの収益や配当金が非課税になります。
2.1 新NISA制度における2つの投資枠
NISA口座の枠には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの投資枠があります。
それぞれの特徴は、下記の通りです。
【つみたて投資枠】
- 年間投資上限額:120万円
- 非課税期間:無期限
- 投資対象:長期・分散投資に適した投資信託
【成長投資枠】
- 年間投資上限額:240万円
- 非課税期間:無期限
- 投資対象:上場株式、投資信託など
2つの投資枠は併用して活用することが可能ですが、合計したときの上限額が決められています。
【投資枠上限】
つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1800万円
※成長投資枠のみの場合1200万円が上限額
※一度購入したものを売却した場合には、その分の枠は再利用が可能
積立投資は成長投資枠でも可能ですが、選択できる商品の安定性や投資枠が作られた趣旨を考慮すると、つみたて投資枠により行うのが一般的です。
3. 50歳からの資産形成シミュレーション
次に、NISA口座のつみたて投資枠を利用して50歳から65歳までの15年間の積立投資を行った場合のシミュレーションを、積立金額ごとに3パターン行います。
【シミュレーション条件】
- 投資期間:15年間(50歳~65歳)
- 想定利回り:5%
- 投資方法:積立投資(毎月定額)
- 積立金額:2万円・4万円・6万円の3パターン
3.1 ケース1:毎月2万円投資
- 15年間の投資総額:360万円
- 15年後の手取り金額:535万円
- 投資利益:175万円
3.2 ケース2:毎月4万円投資
- 15年間の投資総額:720万円
- 15年後の手取り金額:1069万円
- 投資利益:349万円
3.3 ケース3:毎月6万円投資
- 15年間の投資総額:1080万円
- 15年後の手取り金額:1604万円
- 投資利益:524万円
4. 積立投資におけるポイント
次に、投資を始めるにあたって大切な視点を説明します。
4.1 長期間の定額投資であること
積立投資をする際、長期的に定額投資を行うことにより元本割れのリスクを減らすことができます。
価格の上昇や下降に意識されすぎずに、計画をした期間中の定額投資を続けることで、統計としては緩やかに価格が上がり途中の価格上昇や下降の影響を大きく受けなくなります。
さらに、長期的に投資を行うことで複利効果が発揮され、資産形成をする上で利益が上がりやすくなります。
4.2 投資先が分散されていること
積立投資をする際、投資先の業界や国は1つに絞らずに幾つかのものを掛け合わせたものにすることも重要です。
投資先を分散させることにより、例えば選択した1つの業界や国の株価が暴落したとしても他の部分でカバーができるため、リスクを下げることができます。
4.3 リスクやコストの低い商品を選ぶこと
NISAを活用した積立投資を行う場合、最初に選んだ商品を継続して積み立てていくことが一般的です。そのため、最初にリスクやコストをできる限り下げた商品を選ぶことが重要になります。
コスト面では、投資をしている間は常に発生する信託報酬という手数料が低い商品を選択することで、投資期間中に発生する費用を抑えることができます。
リスクの面では、市場全体の動きを表す指数と連動して価格が変動するインデックスファンドを選択することや、上記に挙げた分散投資を意識した商品選びをすることにより、大きな価格変動リスクに対応をすることができます。
5. 新NISA活用のメリット
最後に、NISA口座を活用することで、通常の投資よりも得ることができるメリットを紹介します。
5.1 運用益(売却益・配当/分配金)が非課税
NISA制度の最大のメリットは、非課税制度が適用されることです。NISA口座内で取引をした商品については、税金が課税されないため、最終的に商品を売却した際は投資利益から税金が引かれることなく金額を受け取ることができます。
通常の株式口座の場合は約20%の税金が控除されることになっており、例えば100万円の利益があった場合の手取りが80万円になってしまうため、NISA制度との大きな違いがあることがわかります。
5.2 投資初心者でも始めやすい
つみたて投資枠で選択できる商品は、金融庁により初心者でも投資が始めやすいよう一定の基準を設けて選別されています。
そのため、初心者であっても、意図せずハイリスクな商品を選ぶことがなく、長期投資に適した投資を行うことができます。
6. まとめにかえて
50歳からの15年間でも、コツコツと積立を行うことで相応の資産形成が期待できます。特に新NISA制度ではリスクを抑えて比較的安全な投資を行うことができるため、50歳代からの投資にもおすすめすることができます。
ただし、安全性が高くても投資には必ずリスクが伴うため、制度や仕組みを理解して投資を行う必要があります。
新NISA制度を活用した資産形成は、老後の生活資金作りの有効な手段の一つになります。自身の状況に合わせて、専門家などの意見も聞きながら無理のない範囲で始めましょう。
参考資料
斎藤 彩菜