厚生労働省は、70歳以上の人が医療機関を外来受診し、医療費が高額になった際の自己負担額を引き上げる検討が始まりました。

70歳以上で年収が約370万円を下回る人について、外来受診の自己負担を軽減する外来特例も見直す方向です。

収入の少なくなる70代を対象として、医療費の自己負担額が引き上がることに不安を感じる人もいるのではないでしょうか。果たして自己負担額が引き上がっても、やりくりできるのでしょうか。

そこで今回は、65歳以上でリタイアしている夫婦世帯のお金事情を見ていきます。

1. 65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額はいくらか?…答えは約2500万円

老後生活にまず欠かせないのが、現役時代から積み立てた「貯蓄」です。

老後を迎えるにあたっては、年金だけでは不足する生活費の補填はもちろん、家具や家電の買い替え、マイホームのリフォーム、万が一の病気や介護費用なども考慮をし、ある程度まとまった貯蓄を保有しておきたいものです。

現役引退後に有利な条件で金融機関からお金を借り入れることができないのが、老後の最大の問題点です。

1.1 総務省「家計調査」で見る、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均値と中央値)

ここからは総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(2024年5月17日公表)を参考に、世帯主が65歳以上の貯蓄を見ていきましょう。

【写真1枚目/全7枚】65歳以上の貯蓄分布。年金受給額や生活費内訳のグラフも紹介

65歳以上の貯蓄分布

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

上記によると、「世帯主が65歳以上の二人以上世帯」の貯蓄現在高は次のとおりです。

  • 平均値:2462万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値:1604万円

一般的な年金受給開始年齢は65歳からですから、65歳以降を老後と考えると、その世帯の平均的な貯蓄額は2462万円。

ただし、「平均」は一部の多くの貯蓄をしている人、たとえば富裕層の影響を受けやすいという特徴があります。

そこで、平均ではなく中央値を見て行きましょう。

中央値になると金額は1604万円まで下がりました。こうなると、読者の方も平均値よりも手触り感があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。