筆者は普段、個人向けの資産運用アドバイザーとして活動していますが、多くのお客様から「将来、年金だけで生活できるか不安」という声をよく耳にします。中には「そもそも年金が将来もらえるのだろうか」と心配される方も少なくありません。  

このように不安が募る年金制度ですが、実は低年金の方を支援するために「年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。  

この記事では、この年金生活者支援給付金の対象となる条件や支給基準額について詳しく解説していきます。  

さらに、記事の最後では、老後の生活資金を自分で準備するための方法についてもご紹介しています。将来に向けた備えを考えるために、ぜひ最後までご覧ください。

1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」を知っていますか?

【写真1枚目】『「改定通知書」と「振込通知書」 (年金と年金生活者支援給付金受給者用︓大判はがきサイズ)』1/9

(年金と年金生活者支援給付金受給者用︓大判はがきサイズ)』

出所:日本年金機構:「年金生活者支援給付金支給金額(改定)通知書」はどのような通知書ですか。

「年金生活者支援給付金」は、基礎年金を受給している方で、年金などの所得が一定以下の場合に支給されるお金です。

「定額減税」「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(10万円/1世帯)」といった一時的な措置とは異なり、恒久的な制度です。受給要件を満たす限り公的年金に上乗せして継続的に受け取ることができます。

年金生活者支援給付金は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類。

今回は、年金生活者支援給付金の支給要件や支給額に関する情報を整理しました。

2. 年金生活者支援給付金「支給基準額や計算方法」を知りたい!

年金生活者支援給付金の給付基準額は、物価の変動に応じて年度ごとに見直しがおこなわれるしくみとなっています。

2024年度の「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額や、実際の給付金額の算出方法を確認しましょう。

【2024年度】年金生活者支援給付金の給付基準額2/9

2024年度の年金生活者支援給付金の給付金額例

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2.1 老齢年金生活者支援給付金【2024年度】

老齢年金生活者支援給付金は、月額5140円を基準額とし、保険料納付期間や保険料免除期間等に応じて算出されます。

具体的には、下記(1)と(2)の合計で求められます。

老齢年金生活者支援給付金の計算式3/9

老齢年金生活者支援給付金の計算式

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

  • (1)保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
  • (2)保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円 × 保険料免除期間/ 被保険者月数480月

保険料免除期間に乗ずる金額は、老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。ただし、生年月日によって異なるケースもあるため、お近くの年金事務所や市町村窓口で確認することをおすすめします。

2.2 障害年金生活者支援給付金

障害年金生活者支援給付金の給付額は一律となっており、障害等級によって金額が決まります。

  • 障害等級1級:月額6638円
  • 障害等級2級:月額5310円

2.3 遺族年金生活者支援給付金

遺族年金生活者支援給付金の給付基準額は、一律で5310円。ただし子どもの人数により実際の給付額が変わるしくみです。

2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5310円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。

たとえば、3人の子が遺族基礎年金を受給しているケースであれば「5310円 ÷ 3 = 1770円」となり、子ども一人当たり1770円が支給されます。

計算結果に50銭未満の端数が生じた場合は切り捨てて、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げて計算されます。

次では、年金生活者支援給付金の支給要件を見ていきましょう。

3. 「年金生活者支援給付金」の支給要件とは?

年金生活者支援給付金の支給要件は以下のとおりです。

「年金生活者支援給付金」の支給要件4/9

「年金生活者支援給付金」の支給要件

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

3.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

  • 「老齢基礎年金」を受給中の65歳以上の方
  • 支給対象者の、同一世帯の全ての方が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金などの収入(※障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まない)と、その他の所得の合計額が以下の支給要件に該当する

1956年4月1日以前生まれの方|「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

  • 老齢年金生活者支援給付金:78万7700円以下
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金:78万7700円を超え88万7700円以下

1956年4月2日以後生まれの方|「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

  • 老齢年金生活者支援給付金:78万9300円以下
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金:78万9300円を超え88万9300円以下

3.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件

障害年金生活者支援給付金は、以下すべてに該当している人が対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者
  • 前年の所得が472万1000円以下(※障害年金等の非課税収入は含まない)

ただし、基準となる所得は扶養親族等の人数によって増額されます。

3.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件

遺族年金生活者支援給付金は、以下すべてに該当している人が対象となります。

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得が472万1000円以下(※遺族年金等の非課税収入は含まない)

ただし、基準となる所得は扶養親族等の人数によって増額されます。

3.4 年金生活者支援給付金の対象外となるケースもある

下記にひとつでも該当する場合は、年金生活者支援給付金の対象外となります。

  • 日本国内に住所がないとき
  • 年金が全額支給停止のとき
  • 刑事施設等に拘禁されているとき

次では、年金生活者支援給付金の受給手続き方法について見ていきます。

4. 年金生活者支援給付金の手続き方法

すでに年金を受給している方の中で、新たに年金生活者支援給付金の対象となる方に向けては、9月上旬から順次通知が郵送されます。

年金生活者支援給付金の対象となる方への通知書(2023年度の例)5/9

年金生活者支援給付金の対象となる方への通知書

出所:日本年金機構「令和5年度の簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

なお、支給要件を満たす場合、2年目以降の手続きは原則不要です。また、給付額の改定があった場合は「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が郵送されます。

不明点はお近くの年金事務所等でご相談ください。

5. まとめにかえて

ここまで、年金生活者支援給付金について詳しく確認してきました。  

このような給付金は、生活を支えるうえで非常に助かる制度ではありますが、将来にわたって永続的に続くかどうかはわかりません。そのため、根本的な解決策にはならないという側面もあります。  

したがって、現役世代の方々は、老後に向けた生活資金を自分で計画的に準備しておくことが大切です。具体的には、預貯金だけに頼るのではなく、個人年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)、新NISAなどの資産運用を活用することで、効率的に老後資金を蓄えることができる可能性があります。  

ただし、資産運用にはリスクが伴います。そのため、運用を始める前に、自分に合った方法を見つけるための情報収集から始めましょう。  

今から少しずつ準備を進めることで、安心の老後生活を実現するための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金Q&Aまとめ6/9

年金Q&Aまとめ

出所:日本年金機構などをもとにLIMO編集部作成

「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。

6.1 年金の仕組みってどうなってるの?

公的年金の仕組みとは?7/9

公的年金の仕組みとは?

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。

国民年金

国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。

毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。

厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。

そのため、個人差が出やすくなっています。

6.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?

通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。

繰下げ受給でもらえる増額率の一覧表8/9

繰下げ受給でもらえる増額率の一覧表

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。

もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。

6.3 年金や老後資金をもっと増やすには?

繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。

国民年金の付加保険料を払う

自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。

厚生年金に加入する

もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。

資産運用に挑戦

iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。

iDeCoってどんな制度?9/9

iDeCoってどんな制度?

出所:厚生労働省「iDeCoの概要」

ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。

これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?

ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。

参考資料

筒井 亮鳳