12月は年金の支給月です。年金は2か月分が後払いで支給されるので、一見多く感じますが、ひと月にするとこんなものかと思ってしまう人は多いでしょう。「せめて月20万円もらえたら…」と思ったことはありませんか?

そこで、月20万円以上の年金をもらっている人の現役時代の給料はいくらなのか試算してみました。さらに、月20万円の年金生活がイメージできる家計収支も掲載していますので、参考にしてみてください。

1. 年金の平均受給額はいくら?

年金で生活している人の平均的な年金額はいくらでしょうか。厚生労働省の資料から年金受給者の平均年金月額をみてみましょう。

【写真全4枚】1枚目/《一覧表》厚生年金・国民年金の平均受給額、2枚目/年金月額20万円の人の現役時代の収入目安1/4

《一覧表》厚生年金・国民年金の平均受給額

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

◆厚生年金の平均年金月額

  • 男性 16万3875円
  • 女性 10万4878円
  • 全体 14万3973円

◆国民年金の平均年金月額

  • 男性 5万8798円
  • 女性 5万4426円
  • 全体 5万6316円

厚生年金を受給している男性の平均年金月額が約16万4000円なので、年金を月20万円以上受給できる人は、現役時代の給料が平均よりだいぶ高いと予想できます。

2. 月20万円受給する人の現役時代の給料

それでは実際に、年金を月20万円受給できる人の現役時代の給料を試算してみましょう。

厚生年金の報酬比例部分の計算式から、平均標準報酬額を求めます。平均標準報酬額とは、月給の平均額と賞与(12で割った額)を合わせた金額です。条件として、老齢基礎年金の満額を81万円、厚生年金に40年間加入、その期間の収入は変わらないものとして計算します。

平均標準報酬額×5.481/1,000×厚生年金の加入月数=厚生年金の報酬比例部分の額

※5.481は生年月日に係る乗率。2003年4月以後の計算式を使用。

厚生年金の加入月数と厚生年金の報酬比例部分の額を当てはめて、平均標準報酬額を求めます。

  • 平均標準報酬額×5.481/1,000×480月(40年)=159万円(240万円-81万円)
  • 平均標準報酬額=60万4361円(小数点以下四捨五入)

年金月額20万円の人の現役時代の収入目安2/4

年金月額20万円の人の現役時代の収入目安

出所:試算結果をもとに筆者作成

平均標準報酬額は60万4361円となりました。年収にすると約720万円です。

ボーナスなしの場合は、月給は約60万円となり、仮に年間のボーナスが月給の3か月分だった場合は、月給は約48万円となります。

3. 月20万円以上受給する人の割合

年金受給者全体の中で月20万円以上年金を受給できる人はどのくらいいるのでしょうか。厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の受給権者数をもとに割合を出してみました。

厚生年金の月額階級別受給権者数3/4

厚生年金の月額階級別受給権者数

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

年金を月20万円以上受給している人の割合は、男性は21.7%、女性は1.2%となりました。全体では14.8%となります。厚生年金の受給額は男女差が激しいことがグラフをみてもわかります。

月20万円以上年金を受給できる人は、全体の15%程度であることがわかりました。

4. 月20万円の年金生活はどんなもの?

総務省の家計調査をもとに、月20万円で年金生活を送る単身者を想定した家計収支を作ってみました。

年金生活者(単身者)の家計収支表4/4

年金生活者(単身者)の家計収支表

出所:総務省「家計調査/家計収支編 単身世帯 2023年/表番号6」をもとに筆者作成

非消費支出(社会保険料や税金)は、年金収入によって変わってくるので、年収240万円で計算をした金額を用います。

年収240万円の場合、年間で以下の金額が差し引かれます。
※65歳以上75歳未満、東京都八王子在住として計算

●国民健康保険料:15万4972円
●介護保険料:9万2800円
●所得税:2万9200円
●住民税:8万9500円
合計:36万6472円(月額3万539円)

年金を月20万円もらっても、社会保険料と税金で約3万円引かれて、17万円になってしまいます。生活費が約15万円かかるとすると、2万円ほどしか残りません。老後は医療費が多くかかってくるので、場合によっては足りなくなる可能性もあります。月20万円でも余裕があるとはいえないでしょう。

年金受給者の中で月20万円以上受給できる人は15%程度しかいません。残りの85%は年金だけで生活するのは大変厳しいと言わざるを得ないでしょう。

参考資料