新NISAの成長投資枠の上限1200万円を、配当利回り3.5%の高配当株で運用すると、配当は年42万円、月あたり3万5000円になる計算です。

年金だけでは少し心もとない、毎月の生活費にもう少し上乗せしたい、と考えて高配当株に関心を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、新NISAで配当が非課税になる仕組みと、NISA・課税口座・外国株の場合で配当の手取りがどれくらい変わるのかを試算します。

なお、NISA口座での配当金の受取方法に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

「NISA口座なのに配当金から税金が引かれたのはナゼ?」→受け取り時に自動課税されてしまう盲点と正しい設定
「NISA口座なのに配当金から税金が引かれたのはナゼ?」→受け取り時に自動課税されてしまう盲点と正しい設定

1. 新NISAで配当が非課税になる仕組み

まずは、新NISAで高配当株に投資するときに関係する枠と、配当が非課税になる条件を確認します。

1.1 成長投資枠は年240万円、生涯1200万円まで

金融庁によると、2024年からの新NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。生涯の非課税保有限度額は1800万円で、そのうち成長投資枠は1200万円が上限です。非課税で保有できる期間は無期限になりました。

つみたて投資枠で購入できるのは、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られます。高配当株などの個別株に投資する場合は、主に成長投資枠を使うことになります。

なお、NISAはiDeCoと違い、投資した金額を所得から差し引く所得控除はありません。非課税になるのは、配当や売却益といった運用益です。

1.2 配当を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式」

NISA口座で買った株式でも、配当の受け取り方によっては税金がかかります。LIMOの記事「「NISA口座なのに配当金から税金が引かれたのはナゼ?」→受け取り時に自動課税されてしまう盲点と正しい設定」から要点を引用します。

国税庁によると、非課税とされる配当等は「非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの(株式数比例配分方式を選択したもの)」に限られています。上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いです。

出所:「NISA口座なのに配当金から税金が引かれたのはナゼ?」→受け取り時に自動課税されてしまう盲点と正しい設定

日本証券業協会も、配当金領収証方式や、指定した銀行口座で受け取る方式を選んでいる場合、NISA口座の上場株式の配当金等は非課税にならず、源泉徴収されると案内しています。上場株式のほか、ETFやREITも対象です。

2. 成長投資枠1200万円なら配当は月いくら?口座別に手取りを試算

では、成長投資枠の上限1200万円を高配当株で運用した場合、配当の手取りはいくらになるのでしょうか。口座の種類ごとに試算します。

2.1 試算の前提は配当利回り3.5%

ここでは、配当利回りを3.5%と仮定します。株価の変動や減配・増配は考えず、1年間に受け取る配当の手取りだけを計算しています。

1200万円を配当利回り3.5%で運用した場合の配当の手取り(試算)1/2

1200万円を配当利回り3.5%で運用した場合の配当の手取り(試算)

出所:金融庁「NISAを知る」、日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」を参考にLIMO編集部作成

図を見ると、同じ1200万円・同じ利回りでも、口座の種類や投資先の国によって、手元に残る配当が年に数万円単位で変わることが分かります。

2.2 NISA・国内株なら年42万円(月3万5000円)

1200万円×3.5%で、配当は年42万円です。NISA口座で株式数比例配分方式を選んでいれば税金はかからないため、そのまま受け取れます。年額を12で割ると月3万5000円です。

2.3 課税口座なら年33万4677円。差は年8万5323円

特定口座などの課税口座では、配当に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。手取りは年33万4677円、月あたり約2万7890円です。NISAとの差は年8万5323円になります。

2.4 NISAでも米国株は現地の税10%が残る

米国株の配当は、日米の租税条約にもとづいて米国で10%が源泉徴収されます。NISA口座では日本の税金はかかりませんが、この米国の税金は残るため、手取りは年37万8000円、月3万1500円です。

課税口座であれば二重課税を調整する仕組みがありますが、NISA口座は日本で課税されないため、その対象になりません。

和田 直子

配当の非課税は、NISAのわかりやすい利点の一つです。ただ、その恩恵を受けるには受取方法の設定が欠かせません。NISA口座で株式を持っている方は、証券会社の画面で配当金の受取方式が「株式数比例配分方式」になっているかを一度確かめておきたいです。