「富裕層」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。おそらく多くの人が、経済的に余裕があり、老後の心配をする必要がない、ゆとりのある暮らしを送っている人々を想像することでしょう。

2023年11月に行われた国民生活に関する世論調査では、約72%の人が現状の資産や貯蓄に満足していないと答えています。また、約60%の人が「今後の収入や資産の見通し」に不安を感じていると答えています。

このように、日本経済や景気が不安定な中で、多くの人が将来の生活に経済的な不安を抱いているようです。そのため、「富裕層」という言葉には羨望や憧れを感じる人も多いのではないでしょうか。

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現在の生活の各面での満足度

出所:内閣府「国民生活に関する世論調査(令和5年11月)」

今回の記事では、富裕層とはどのような人々なのか、その定義を説明しつつ、彼らがどのようにお金を使っているのか、消費動向について考えてみたいと思います。

富裕層になるのは簡単ではありませんが、彼らの消費傾向を学び、その考え方を生活に取り入れることで、何かしらの変化をもたらすことができるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

1. 富裕層の現状

「富裕層」とは、一般的に潤沢な資産を持ち、経済的な安定と豊かな生活を享受する人々を指します。

1.1 富裕層とは

富裕層というワードに明確な定義は与えられていないものの、株式会社野村総合研究所によるデータによると、富裕層を純金融資産(金融資産から負債を引いた額)によって以下の3種類に分類しています。

1. 準富裕層:純金融資産が5000万円以上1億円未満の世帯
2. 富裕層:純金融資産が1億円以上5億円未満の世帯
3. 超富裕層:純金融資産が5億円以上の世帯

※純資産額で考えるため、仮に金融資産が1億円あっても、住宅ローンなどの借入金がある場合、その分を差し引いた金額で資産額を考えることになります。

1.2 日本における富裕層の割合

野村総合研究所のデータによると、2021年時点の日本全体で富裕層は139万5000世帯、超富裕層は9万世帯となっており、合わせて約148万5000世帯存在しています。

これは2021年時点の日本全体の世帯数(5191万4000世帯)の約2.8%にあたります。

1.3 富裕層になる3パターン

富裕層には、その成り立ちにより主に3つのパターンが存在していると言われています。

1.起業や事業の成功など、一発で大きな資産を得たパターン
2.相続や親の事業を引き継いで資産を得たパターン
3.士業など高収入な職に就き着実に資産を増やしたパターン

どの区分であるかによって消費動向も異なることが考えられますが、今から富裕層を目指す人にとって参考となるのが1か3ではないかと思われます。

このような人たちは、どのようなお金の使い方をしているのでしょうか。

2. 富裕層のお金の使い方

富裕層のお金の使い方の傾向の一つとして、無駄な浪費をしないということが挙げられます。さらに、単なる物質的な豊かさだけではなく経験や将来の自己への投資にお金を投じる一面もあります。

今回はラグジュアリーカードの調査データをもとに、富裕層がどんな価値観を大切にしているかを見てみましょう。

調査概要は以下の通りです。

<調査概要>
調査名:ラグジュアリーカード会員 ライフスタイルに関する調査
調査対象期間:2024年2月21日〜2月26日
調査対象:ラグジュアリーカード会員のうち世帯年収2000万円以上の方342名

プライベート・仕事の価値観で大切にしていることに対する回答は以下の選択肢が高スコアとなっています。

  • 新しい人とつながり、出会いを楽しむこと
  • まだ行ったことのない場所やなかなか経験のできない珍しい体験をすること
  • 常に好奇心を失わず、新しいことを学び続けること

このことから、以下のようなことに価値を置いている傾向を見ることができます。

2.1 人脈形成

富裕層にとっての財産はお金だけではありません。彼らは多くの時間とエネルギーを人脈形成に投資しています。

このようなネットワークは、新たなビジネスチャンスや協力関係の構築に役立つだけでなく、社会的な信用と影響力を高める要素となります。

2.2 価値ある体験

物質的な所有よりも、価値ある体験にお金を費やす傾向があります。高級志向のトラベルパッケージや特別なイベント、独自の文化体験など、自分自身のライフスタイルを豊かにする経験に投資することで、人生の質を高めようとしています。

2.3 自己投資

富裕層は学習や成長を大変重要視しています。これにはビジネススキルや新しい専門知識の習得はもちろん、趣味や興味の分野における専門知識の深堀りも含まれます。

富裕層は無駄な浪費を避ける一方で、価値あると判断した投資には惜しみません。このような姿勢が、富を保ち続けるポイントではないでしょうか。

3. 富裕層向けサービスから見る富裕層の消費動向

さらに、富裕層の間で人気のある商品やサービスは、富裕層の消費動向として関心が高いと考えることができます。具体的には、下記のようなものが挙げられます。

3.1 プライベートバンク

プライベートバンクとは、富裕層の顧客を対象にして、資産管理を包括して支援する金融サービスを提供する銀行を指します。
専門家によって、自分の資産状況に合った資産運用をしてもらうことができるというメリットがあります。

3.2 外商サービス

一般的に年間で一定額以上の買い物をする富裕層の顧客向けに、百貨店などの販売員が家に出向いて販売を行うサービスです。

近年は、若年層の富裕層を対象にしたメッセンジャーアプリなどによる外商サービスも開始しています。

3.3 特別感のある旅行プラン

富裕層向けの高級路線の旅行プランとしては、単なる旅行ではなく、特別感のある高付加価値な特典や希少価値の高い体験などを付与したものであることが多くあります。

このように、富裕層向けのサービスには日常と比較して特別感を得られるものや、貴重な体験が得られるものが多く、そういったニーズが富裕層の間であることがうかがえます。

4. おわりに

「富裕層」という言葉から、毎日を贅沢に過ごしてお金の心配をしていない人々のことを指していると想像をする人も多いのではないでしょうか。

しかし、日本の富裕層には、日常的な消費においては堅実な考え方の人が多く存在します。その反面、自身が大切だと感じることや、自分の価値を高めることに対してお金を使うことを惜しみません。

このような姿勢から、私たちも学ぶべき点があるのではないでしょうか。富裕層と呼ばれる人たちの生活の裏にある生き方や考え方を知ることで、私たちにも資産形成を考える上での一つの要素となるのではないかと思います。

参考資料

斎藤 彩菜