住民税の通知書を開くと、所得割額の欄の近くに調整控除という項目が並んでいます。

聞き慣れない名前ですが、地方税法に書かれた税額控除の一つです。

この記事では、控除の中身と計算の分かれ目を確認します。2ページ目では、引かれる前の住民税がどう決まるかと、通知書で確かめる順番を見ていきます。

1. 【調整控除】住民税だけに置かれた税額控除

所得税と住民税では、扶養控除や配偶者控除といった人的控除の額がそろっていません。同じ所得でも控除の総額に差が出るため、地方税法はその差に応じた金額を所得割から差し引く仕組みを置いています。

1.1 市町村民税と道府県民税で条文が分かれている

調整控除の条文は2本あります。市町村民税が地方税法第314条の6、道府県民税が同法第37条です。

どちらも、前年の合計所得金額が2500万円以下である所得割の納税義務者について、所得割の額から一定額を控除すると定めています。前年の合計所得金額が2500万円を超える人は、この控除の対象から外れます。

1.2 200万円を境に計算が分かれる

計算は、課税総所得金額・課税退職所得金額・課税山林所得金額を足した合計課税所得金額が200万円以下かどうかで分かれます。

200万円以下の場合は、人的控除の差の合計額と合計課税所得金額のうち少ないほうを使います。200万円を超える場合は、人的控除の差の合計額から、合計課税所得金額が200万円を超える部分を引きます。引いた結果が5万円を下回るときは5万円とすると条文に書かれているため、200万円を超える人でも計算の元になる金額が5万円より小さくなることはありません。

なお「人的控除の差」というのは解説上の呼び方で、条文は「5万円に、該当する区分の金額を合算した金額を加算した金額」と書いています。

扶養している人の区分で加算額は1万円から22万円まで開きます1/2

調整控除の人的控除の差に加算される金額を区分ごとに並べた表

出所:e-Gov法令検索「地方税法」e-Gov法令検索「地方税法施行令」をもとにLIMO編集部作成

2. 人的控除の差はいくらか

条文は、まず基本額として5万円を置き、そこに該当する区分ごとの金額を足していく形をとっています。

2.1 扶養している人の区分で大きく動く

加算額がもっとも大きいのは同居特別障害者で、1人につき22万円です。次いで特定扶養親族が1人につき18万円、同居直系尊属である老人扶養親族が1人につき13万円と続きます。

1人につきという数え方をするのは、障害者が1万円、特別障害者が10万円、控除対象扶養親族が5万円、老人扶養親族が10万円です。人数によらず定額なのは、老人控除対象配偶者の10万円、控除対象配偶者の5万円、勤労学生の1万円になります。

2.2 ひとり親は父か母かで金額が違う

見落とされやすいのがひとり親です。条文の表は、ひとり親を2つの行に分けています。

「寡婦又はひとり親で政令で定めるもの」が1万円、「ひとり親で政令で定めるもの」が5万円です。同じ言葉が2回出てくるので、どちらに当たるのかは政令をみないと分かりません。

地方税法施行令は、1万円のほうを「ひとり親のうち父である者」、5万円のほうを「ひとり親のうち母である者」と定めています。母子世帯は5万円の加算になります。条文が2本あるのと同じで、政令も道府県民税が第7条の16の2、市町村民税が第48条の7の2に分かれていますが、中身は同じです。

2.3 配偶者の区分は3つに分かれる

配偶者は、控除対象配偶者が5万円、老人控除対象配偶者が10万円です。これに加えて、前年の合計所得金額が55万円未満で控除対象配偶者に該当しない配偶者にも5万円の区分が置かれています。配偶者の所得が50万円以上55万円未満なら3万円です。

いずれも、納税義務者本人の前年の合計所得金額が900万円を超えると段階的に下がります。控除対象配偶者は950万円以下で4万円、1000万円以下で2万円です。老人控除対象配偶者は6万円と3万円になります。

2.4 指定都市は3%と2%が入れ替わる

差し引く割合は、市町村民税分が3%、道府県民税分が2%で、合わせて5%です。

ただし条文にいう指定都市、いわゆる政令指定都市に住所がある場合は、市町村民税分が4%、道府県民税分が1%になります。合計の5%は変わりませんが、どちらの税から引かれるかが入れ替わる形です。

年収別の住民税額の目安については、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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