シリーズでお伝えしている「企業年収給与研究」。最新の有価証券報告書をもとに注目企業の従業員の年収・給与や従業員数を見ていきましょう。今回は国内大手ビール企業を抱えるキリンホールディングスです。

キリンホールディングスの平均年間給与はいくらか

キリンホールディングス(提出会社)の2017年12月31日時点での平均年間給与は1105.0万 円と1000万円を超えています。また、従業員の平均年齢は43.9歳となっており40歳を上回っています。平均勤続年数は19.1年となっています。

キリンホールディングスの従業員数は何人か

有価証券報告書の提出会社(単体)の従業員数は2017年12月31日時点で18名。単体の従業員数は18名になっています。提出会社はホールディングスカンパニーであり、従業員数は多くはありません。

また、連結の従業員数は3万1033名。キリンホールディングスの従業員数は前年度比8822名減少しました。これは2017年5月にBrasil Kirin Holding S.A.売却に伴い、海外その他綜合飲料事業における従業員が減少したためです。セグメントごとの内訳は以下の通りです。

  • 日本綜合飲料:1万1389名
  • オセアニア綜合飲料:5304名
  • 海外その他綜合飲料:6546名
  • 医薬・バイオケミカル:7532名
  • その他:244名
  • 全社(共通):18名

過去5年の業績推移

キリンホールディングス(連結)の業績推移についても見ておきましょう。

まず、売上高ですが、過去5年をみると会計基準が日本基準から国際会計基準に変更されているので単純な比較はできません。

ただ、日本基準で見ると売上高は5年前と比較して減少しています。2013年12月期に売上高が2兆2545億円(日本基準)であったものが、2017年12月期には売上高は1兆9708億円(日本基準)となっています。

また、過去2年分の実績値となりますが、国際会計基準による売上高は、2016年12月期に1兆8539億円であったのが、2017年12月期には1兆8637億円に増加しています。

経常利益(日本基準)については、売上高の傾向とは異なり、増益傾向が継続しています。2013年12月期には1321億円の水準であったものが、2017年12月期には1609億円にまで増加しています。

また、過去2年分の実績値となりますが、税引前利益(国際会計基準)は2016年12月期に2081億円であったのが、2017年12月期には2337億円にまで拡大しています。

最後に、投資家の注目が集まる「ボトムライン」である親会社の所有者に帰属する当期純利益は大きく変動しています。2013年12月期には856億円(日本基準)あったものが、2015年には一時マイナスに転換しています(日本基準)。そして2017年12月期には1286億円(日本基準)にまで回復しています。

また、国際会計基準による親会社の所有者に帰属する当期利益は、2016年12月期に1489億円、2017年12月期には2420億円となっています。

今後の注目点

キリンホールディングスでは「キリングループ2016年-2018年中期経営計画」を掲げ、構造改革によるキリングループの再生を目指しました。

その中でキリンビバレッジの収益性改善やブラジルキリン社の売却など、事業のテコ入れと事業ポートフォリオの見直し等ドラスティックな経営管理を進めてきました。

また、フリーキャッシュ・フローを重視する経営を行っており、インベスト・ダイベストに関しては株主価値に言及するコメントも多くみられます。今後のキリンホールディングスの躍進に注目です。

まとめにかえて

年収や給与といった金銭面での条件は仕事をする人にとっては誰もが気になる要素ではないでしょうか。金銭面での処遇以外にも、働きがいや働きやすさといった職場環境が大事なのは言うまでもありません。

ただ、年収や給与などの「お金」の話は親しい仲でも聞きにくいというのが実際ではないでしょうか。こうしたデータが就職活動や転職活動の参考になれば、幸いです。

【注意点】有価証券報告書における年間平均給与及び従業員数について

平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。また、従業員数は就業人数です(社外からの出向者を含み、社外への出向者は含みません)。

【ご参考】有価証券報告書とは

日本証券業協会によれば、有価証券報告書は「金融商品取引法に基づいて上場会社が事業年度ごとに作成する会社内容の開示資料です。株式を上場している会社は、各事業年度終了後、3か月以内に財務局長および上場証券取引所に有価証券報告書の提出が義務付けられています」とされています。

LIMO編集部