4. お金は「貯める」から「増やす」へ
ここまで、日本の富裕層の割合や、彼らがどのようなものにお金を使っているかについて詳しく見てきました。多くの人がイメージする「贅沢三昧な生活」とは異なり、富裕層は無駄な支出を避け、必要な部分にだけお金を使っていることが分かります。
ファイナンシャルアドバイザーである筆者が、これまで富裕層と接する中で感じた共通点は、彼らが「お金を守る術」を知っているという点です。資産を増やすことだけでなく、減らさないための戦略も非常に重視しているのが特徴です。
その一例が、物価上昇に対する備えです。インフレが続けば、手元のお金の価値は目減りしてしまいます。富裕層は「お金の価値を守る」ために資産運用を活用しています。
資産運用というと、昨今注目されている「新NISA」や「iDeCo」を思い浮かべる方も多いでしょう。これらは、国が用意した税制優遇制度です。特に「新NISA」は、2024年から制度が拡充され、非課税枠が大きく拡大しました。
新NISAは少額からでも始められる点が魅力で、資産運用が未経験の方でも手軽にスタートできる仕組みとなっています。
一方、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、老後資金の形成を目的とした制度で、掛金が所得控除の対象となり、節税効果が得られるのが大きなメリットです。
ただし資産運用には元本割れなどのリスクが伴います。ご自身の将来に向けて、資産運用とはどのようなメリットデメリットがあるのか、調べてみることから始めるのがおすすめです。
お金を「貯める」だけでなく、「増やす」視点を持つことが、これからの時代においてはより重要になってくるでしょう。
参考資料
- 株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
- Black Card Ⅰ 株式会社「ラグジュアリーカード利用データ調査」
- Black Card Ⅰ 株式会社「ラグジュアリーカード会員 ライフスタイルに関する調査」
- 金融庁「NISAを知る」
- 厚生労働省「iDeCoの概要」
筒井 亮鳳